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金盛堂の面相筆Nゴシック。

絵の具で着色をするとき
アルテージ画筆のCAMLON PRO 620(キャムロンプロ)のナイロン筆を使っています。
1年ぐらい前に画材屋で筆を探していて試しに買ってみたら
値段も手頃なのに使い心地が良かったので、以来使っています。

それまでは
金盛堂のNゴシック面相筆を使っていました。
フリーランスになった頃
この金盛堂製のNゴシックの面相筆を画材屋で見つけて
すごく使いやすくて気に入りました。
私が筆を選ぶ基準は
① 筆の穂先の太さと長さのバランスが良いこと。
  穂先の太さに比べて長すぎても短すぎても塗りにくいです。

② 軸の太さや長さの手に収まる具合がいいこと。
  軸が細かったり太かったり、また長かったりすると扱いづらく
  握ってみて手にしっくり収まる筆というのがあります。

③ 穂先のコシがちょうど良いこと。
  コシが弱いと穂先が流れる……というか、ダラーんとなって塗りにくいです。

④ 軸と穂先を合わせる部分が「口金」でないこと。
 
 口金とは軸と穂先のジョイント部分の金属のことです。
  筆に絵の具をつける時に、この口金が梅皿にカチカチ当たるのが
  背筋がゾワゾワするぐらいニガテです。

金盛堂製のNゴシックは、こう、手に持ったときの塩梅が良くて
しかも、長く使っても穂先があまり乱れないのも良いところでした。
ところが
画材屋の店頭からそのNゴシックの面相筆が見当たらなくなり
仕方ないので
ほかのメーカーの筆を買って試してみましたが
使ってすぐに穂先が二股に分かれたり、バサバサになったりして
やっぱり金盛堂がいいなーと
ネットで『金盛堂』を検索してHPから問い合わせてみたところ
通販でお送りできますよ
との快いお返事で、早速20本ぐらい注文しました。

……これがもうずいぶん前の話。
その注文した20本も、気がつけば残り1本。
大事に大事に使わなければ。
そんな時に
画材屋で『アルテージ画筆のCAMLON PRO 620』に出会ったのでした。
試しに買ってみたら
使い勝手も良く
難点といえば「口金」がついていることですが
口金の素材からか?カチカチもあまり気にならずに使っています。

昨日のことです。
使っていた筆の穂先が悪くなってきたので
新しいのをおろそうと画材のストックを入れている箱をのぞいてみたら
あら。
金盛堂のNゴシックの面相筆数本が、キャップのついた新品が袋に入ったままで出てきました。
なぜに??
たしか「最後の1本」を大事に大事にとっていたはず。
だからCAMLON PRO 620に乗り換えたんだったはず。

じっくり記憶を辿って思い出しました。
最後の1本になった時点で
私はまた金盛堂に電話したのでした。
そしたら
もうNゴシック面相筆は作らないことになった(たしかそんな風に言ってた)。
なので今在庫にある分だけでよければお送りします。
と送られてきて
しかも
サービスでってサイズ違いの面相筆まで入れてくれてたのでした。

大事に大事に使わなければ……と思ったのは
最後の1本になったからではなく
Nゴシックはもう生産しない……と言われたからだったのかー。
なんだか狐につままれた気分。