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【評価B】映画『シン・ウルトラマン』レビュー

はじめに

映画『シン・仮面ライダー』の公開(2023.3.17)まであとわずかということで,『シン・ウルトラマン』を遅ればせながら観てみてみました.

ウルトラマン素人の僕目線ではけっこう面白かったです!
もちろん批判的な部分もありますのでぜひ読んでいただけたらと思います〜

僕はウルトラマンについての知識はゼロなので,原作等との比較はしていません.あくまでウルトラマンを知らない人間の感想です.

感想概要

おもしろさの評価はBです.

  • S: 評価Aの中でも特に好きな作品

  • A: 何度も観返したくなった,原作も読みたくなる/読んだ作品

  • B: けっこう面白かった作品

  • C: まぁまぁ面白かった作品

  • D: 最終話まで観るのがやっとな作品

  • E: 途中で観るのをやめてしまった作品

観ていて面白いなとは思ったんですが,これを機にウルトラマンに興味が湧いてきたということもなければ,もういちど観たいかと問われたらもういいかなって感じなので,評価Bです.

ちなみに前作『シン・ゴジラ』を評価するなら評価Aです.
あと,エヴァ好きな僕なので,庵野監督というだけでかなり贔屓している節があることは否めません.故に,今作は評価Cかもしれないですね.

観るきっかけと期待値

エヴァが好き.『シン・ゴジラ』も好き.つまり庵野監督が好き.
これだけで観るきっかけになりますが,如何せんウルトラマンに興味がなさすぎて今まで観ていなかったんですよね…

庵野監督の「シン」シリーズとあって,期待値はかなり高かったです.

感想

冒頭数分で引き込まれた

映画の冒頭,日本に突如として出現した巨大怪獣(禍威獣と呼称される)について怒涛の勢いで描写されます.

庵野監督特有の明朝体による説明で「おっ,庵野監督の作品が始まったな」とワクワクする入りでした.
また,色んな禍威獣が描写されたので,どんな禍威獣との戦いが観られるのかと,期待も高まりました.

(おまけ)そうはならんやろ1

本作の主人公,斎藤工さん演じる神永新二がウルトラマンになるきっかけとなるシーンがあるのですが,あれおかしくないですか?

神永が逃げ遅れた少年を発見して,それを助けに行ったためにウルトラマンと融合することになったわけですが,なぜあそこで最前線まで助けに行ったのが禍特対(禍威獣特設対策室専従班)の人間だったのでしょう.

禍特対の人間はいわばエリートですから,現地の最前線に赴くのは自衛隊のはずです.
物語の進行上,神永が命を賭して誰かを助ける必要があったわけですが,そのきっかけに必然性がなくて「そうはならんやろ」と思ってしまいました.

後半はやや盛り上がりにかける

導入は良かったのですが,なんだか期待外れだったという印象がありました.

話は普通に面白かったと思うんですよ?

僕ら人類が,特定の生物を勝手に害虫だとか害獣だとか見做して駆除するのと同様に,人類の持つ潜在的な危険性を問題視した外星人(地球外知的生命体)が人類を殲滅しようとするという構図は,僕好みの話です.
僕は仏教徒というわけでもありませんが,「業」という考え方を支持していますし,焼肉定食は自然の摂理ですからねぇ.

外星人の持つ圧倒的科学力を前に相手の要求をうかうかと呑んでしまう人間の弱さも,勝てないとわかっていても極々僅かな可能性にかけて最後まで足掻き続ける渋とさも,愛らしい人間の姿として描写されていて良かったと思います.

でも,盛り上がりにはかけていたことは確かです.

もっとこう,“大怪獣バトル”(元ネタは知らんです)みたいに怪獣とダイナミックにドンパチするのを期待していたのですが,後半に出てきた“敵”は禍威獣ではなくザラブ・メフィラス・ゾーフィと,いずれも外星人でいわば“静かな戦い”が続いたのでワクワク感に欠いていました.

役者がなぁ…

あえて誰,とは言いませんが,もうちょっとちゃんとした人をキャスティングして欲しかったですね.

『シン・ゴジラ』でも政府の人間として描かれていた竹野内豊さんを再キャスティングするという粋な計らいは好きです!

平和ボケ

本作の設定としては,禍威獣は日本にのみ出現するというものでした.

インフラを破壊しまくる化け物たち日本にしか出現しないとか,あまりに日本が悲運過ぎますが,それはさておき,この残酷な事実に対する日本国民の受け止めがあまりに平和ボケすぎましたw

禍威獣に対する国民の反応をフォーカスしたシーンはあまりなかったのですが(個人的にはもっと欲しかったですね),僅かにあったシーンから察するに,どうやら日本国民は禍威獣をトレンド扱いしている様子でした.

自分たちのすぐ近くで未知の巨大生物が暴れ回っているというのにですよ?
その禍威獣は日本はおろか世界だって滅ぼす力を持っているかもしれないというのに.

対岸の火事ですらなく,むしろ此岸の火事とも呼べる状況で,呑気なことです.

この呑気でお花畑な国民の受け止め方を,現実味がないと,見做すのも良いでしょう.

でもどうでしょう.

昨今の日本の政治を見ていると,……

(おまけ)そうはならんやろ2

滝がVRゴーグルをつけて学者たちと会議しているシーンがありました.その様子が側から見ると滑稽だと作中ではありましたが,滑稽なのはそのVR使用の様子ではなく,会議の中身ですよ.

一生懸命になって滝が数式を読み上げているんですけど,いやいや,そんな風に数式を読み上げることなんてしないよ普通www
数学の授業じゃないんだから(数学の授業でさえ読み上げるなんてあんまりしないと思うけど)

これが世界中の叡智の集う会議のいちシーンっていうんだからチープすぎてお笑い種でした.

このシーンはない方が良かった.

おわりに

本編では触れませんでしたが,実は本作にとても嫌なシーンがありました.それは長澤まさみさん演じる浅見弘子の発言「米国も情報くらい属国に頼らず自分の足で拾ってこい」というところです.

ここで,「属国」と蔑称しているのはまず間違いなく日本です.
あの… 日本は米国の属国ではありませんよ…
日本は歴とした主権国家であり独立国家であり,米国とは対等な同盟関係にあります.

(もちろん,日本を米国の属国と蔑称したくなる理由はわかります)

この部分は気分が悪くなりましたね.

ともあれ,本作はけっこう面白かったので,未視聴の方は観て損はないと思います.


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