カラス君とツーショット③|アニマル・コミュニケーション
ある夏の日に野生のカラス君との友情をはぐくんだ物語です。
カラスが舞い降りてきて遊んだ日々①、カラス君に認識されたら②、の続きの記事です。
詩「漆黒の祝福」と「カラスの愛」は、野生のカラスと触れ合った実体験をもとにして書いた詩です。
そもそも、私は鳥と非常に縁がある。
子供の頃に動物園で白鳥に襲われてから、白鳥は美しく見えても性格が悪い!と非常に擬人化していたところがある。旅に行くと、必ず何かしら鳥との攻防戦が繰り広げられる。
例えばハワイでは七面鳥に追いかけられたり、ニュージーランドでもカラスと争ったり、飛べない大きな鳥と真夜中に鉢合わせてにらみ合ったり。日常でも、池の淵に立っていると、100羽くらいの鴨が私めがけて突進してきたり(友人目撃、ヒッチコック映画みたいだったらしい)、メジロの大群に気配を消して1mくらいまで近づいて、突然気配を表してびっくりさせたり。
私にとって鳥というのは、異種の生物ではなく、同じ土俵の奴らだったのだ。だから普通に話しかけるし、怒るし、からかったりして、最初から意思疎通できる相手だと思っている。(動物全般にそうだけど、クラゲだけは違った)
カラス君と出会った場所は、私がいつも瞑想や発声練習をする聖なる空間だ。カラスが飛んでいると、そのカラスめがけて発声したり、カラスの鳴き声をまねしたりという事を毎日のようにしていた。だからカラス側も、いつもあの木の下から威嚇してくる変な人間、という認識があったのだろうと思われる。
初めてカラスと遊んでから数日のこと。
その日の朝は、大好きな人に沢山褒められたので、とてもとてもハッピーな気持ちで聖地に向かった。心は本当に満ち足りて空っぽだった。
3羽のカラスがわざとらしく目の前を通り過ぎたので、あの子かと思って声をかけてみた。
すると来た来た!来たよ、カラス君。やっぱり、人間の意識状態を監視しているとしか思えない。人間の意識が透明な時にだけやってくる。
このカラス君、口の中がまだ赤い。子供のカラスは口の中が真っ赤いらしい。巣立ったばかりのカラスもまだその赤さが残っていて、2~3か月すると大人のように黒くなっていくそうだ。このカラス君は、頭に産毛がまだ残っているし、口の中も真っ赤。だからまだカラス世界に順応する前だったのだろう。
今日はパンの欠片を持っていたので喜んで食べるだろうと思った。欲張ってほおばる、いや、くちばしばるのだけれど、食べるわけではない。カラス君の大好物は毛虫らしい。突然その辺を掘り返して、毛虫を食べ始め、あげくに私にも与えようとする。 ん~~~~、嬉しいけれどちょっと苦手かなぁ。。。。
カラス君は遊ぶ気満々で、食べることよりも、ビニール袋の取りっこや、カラス君が土の中に隠そうとするパンの争奪戦で興奮していた。そして、食べないものはそこらへんに埋めて隠す習性らしく、なぜかパンの欠片を私のジーンズのポケットに隠そうとする。意味不明。
三十分くらい遊んだら(結構長い)カラス君はすっかり飽きたのか、遠くでラジコンを飛ばすお兄さんの方へ飛んで行った。気まぐれだね。
ラジコンを盗もうとすると、当然激しく追い払われてしまった。すると、一直線に私の方に逃げてくるではないですかぁ!
”あ~~~ん、こわいよ~”と甘えて飛んでくる姿に。。。か、かわいい。
慰めるために歌を歌ってみた。すると、じ~~~と聞いている。いろいろな歌を試してみた結果、美空ひばりの「川の流れのように」が一番心が落ち着くらしいと分かった。さすが、天才美空ひばり。。。。。カラスにも効く。
あとで、動物はクラシックが好きと聞いたので次回はアベマリアとかオペラとか歌ってみようかな。
カラスと遊ぶのに飽きたので発声練習すると、いつものように白鷺のつがいがやってきた。近くで旋回しながら、私がカラスと一緒にいるのを見て、ちょっとしたショック顔になった。ほんとうにビックリマークが浮かぶのが見えたよ。
やっぱり鳥同志は、何かしらコミュニケーションがあるらしく、白鷺は「え~~~え~~~~え~~~」と言いながら去っていった。
カラス君は今日は足とくちばしに触らせてくれた。その後もひとしきり遊んでからふっ、と去っていった。そのあとくされの無さが良い。
私は野生動物の、この、ふっ、という気まぐれなタイミングが大好きだ。この何の執着も、思いも残さない、自由さはスピリット的なのだ。
そして、このカラス君と遊んだ後は、仕事ははかどるし、意識状態も絶好調になって、雑なものが全て消え去る。
このカラス君は、瞑想マスターかもしれない。野生はいつも大先輩!
(④につづく)
(photo: ©MikaRin)
MikaRin Youtube 音楽チャンネル