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韓国旅行で思い出すのは、チゲ屋のおばさんのハグ

2017年3月、ソウル。
旅行で立ち寄ったチゲ屋さんを出る時に、お店のおばさんにギューっとハグをされた。ビックリしたけれど嬉しかった、懐かしい思い出。

2017年3月。高校2年生の春休み。
私は家族と一緒に、韓国・ソウルへの週末旅行に行った。

韓国語を知らない私は、旅にそなえて、使っていた電子辞書の韓国語会話集から次の5フレーズを覚えた。

  • 안녕하세요(アンニョンハセヨ):こんにちは

  • 감사합니다(カムサハムニダ):ありがとうございます

  • 잘 먹겠습니다(チャル モッケッスムニダ):いただきます

  • 잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ):ごちそうさまでした

  • 샘플 많이 주세요(センプレ マニ ジュセヨ):サンプルをたくさんください

(最初の4つはともかく、「サンプルをたくさんください」を覚えるとは、なんともがめつい?ちゃっかりした?高校生である……)しかし、その甲斐もあって(?)、お買い物をした化粧品屋さんでは、たくさんのサンプルを得ることに成功した。

また、「안녕하세요(こんにちは)」と「감사합니다(ありがとうございます)」は使う場面も多く、旅行中に何度か使うことができた。

一方、なかなか使う場面がなかったのは、「잘 먹겠습니다(いただきます)」と「잘 먹었습니다(ごちそうさまでした)」。なんだか言うのが恥ずかしくて、使わないままあっという間に最終日になってしまった。

そんな最終日の朝は、チゲを食べに行くことに。観光客があまりこなさそうなエリアのディープな店に入りたがる父に連れられて、細い路地に多くの小さな店が立ち並ぶところへ。

そこで見つけて入ったチゲ屋さんは、私たちのほかには誰もお客さんがいない。不安な気持ちも胸に、ひとりで店を切り盛りをしている様子の韓国人のおばさんに、身振り手振りと簡単な英語で注文をすると、さっそく路地にある厨房(?)で料理を作り始めてくれた。

ぐつぐつと煮えるスープから、まだ肌寒い3月の路地に湯気が立つ。立ち始めたいい香りにうっとりしていると、すぐに完成したようで、おばさんは席まで料理を運んでくれた。

そして食べてみたチゲは絶品!出汁がきいているアツアツのチゲに舌鼓を打った。付け合わせのおかずの数々もとても美味しく、すぐにお腹は一杯に。

そして、お店を出るときに、美味しかった感謝の気持ちをなんとかおばさんに伝えたいと思った私は、覚えて来た「잘 먹었습니다(ごちそうさまでした)」を思い出した。

ちょっぴり勇気が要ったけれど、その言葉を笑顔で伝えてみたら、次の瞬間、私はチゲ屋のおばさんの腕の中にいた(笑)。その後、おばさんは微笑んで、なぜか私にもお礼を伝えてくれた。

本当にふとした旅の一瞬の思い出だけれど、たった1フレーズを覚えておいたおかげで、美味しかった感謝の気持ちを "Thank you" だけよりもきっと伝えられたこと。初めて会ったお店のおばさんがそれに喜んでハグしてくれたこと。その温かさ。

この旅の1コマは、私の韓国旅行の大切な思い出だ。


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