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ビーチ・バム

ド派手なマシュー・マコノヒーと超おしゃれ(通常運転)なスヌープ・ドッグ出演映画!?!?

…話が微妙だったとしても絶対好き!!!!

というわけで、不覚にも劇場公開時にその存在を知らなかった『ビーチ・バム まじめに不真面目』(ハーモニー・コリン監督、2019年)をシネマ映画.com先行配信で観ました〜!

結論、、、、、良かった。内容も最高だった!!!

ハーモニー・コリンの映画って、毎回「好みそう!」と期待して観に行っては「何かが違うんだよな・・・」とちょっとがっかりして帰ってくるパターンだったのだけど、今回は見せたいことがしっかりハマったのか、もろに好みな映画でした。

マシュー・マコノヒー演じるムーンドッグは、過去に1冊だけ出した詩集が大成功したけど今は特に何もせず気の向くままに生きている元・天才詩人。

酒と女を愛する昔風の酔いどれ詩人で、行動も服装もハチャメチャな倫理観ゼロ男。でもとっても魅力的で、いつも人に愛される。

ストーリーは有って無いようなもの。
飲酒運転で妻ミニー(アイラ・フィッシャー)を失ったムーンドッグが、資産家の妻の遺言(「物書きとして復活したら遺産を譲る」)のために小説を書きながら今まで通りの破天荒でノーモラルな生活をする、その様をひたすら追うだけ。

逮捕されて施設に入れられても全然悲壮感はなくて、結局脱走してホームレスになってからもむしろ楽しそう。でもお金は必要だから、いろんな人に助けてもらって(時には犯罪もw)、愛されキャラで切り抜ける。めちゃくちゃだけど妻にも娘にも友達にも愛されてる。こういうキャラに説得力を持たせるのは、やはりひとえにマシュー・マコノヒーの魅力と演技力

酒と女とクスリとパーティーが人生の糧で、「人生を楽しみ尽くしてやる」と豪語するムーンドッグがなぜこんなに愛されるのかというと、やっぱり「すごい奴」だから。一文無しになって何日も同じ服を着てるような最低の状況でも相変わらず酒飲んで遊びまくって、でも小説書いたらピューリッツァー賞を獲ってしまう。

「そんな生活ができるのは、結局ピューリッツァー賞という”権威”に評価されるような”価値ある”人間だからでしょう。」という冷笑的な見方はあると思う。でも、最後に遺言通り数億の遺産を手に入れても全部現ナマで船で運んで、パーっと花火やってうっかりお金全部燃やしちゃっても笑って済ます、そんな生き方は普通の人にはできないでしょう、ということ。

本当に自由に生きるってことは、世の中の規律を守って生きるよりずっと難しい。

才能のないムーンドッグが同じ生活をしたら、必ず破滅する。そんなのは嫌だから、普通の人間は規律を守り、その中で得られる限りの自由を享受するのだ。だからムーンドッグの生き方はある意味茨の道で、でも茨の道を破滅に向かって突き進むのではなく、笑いながら愛と生を愉しみ続ける。この表現はすごいと思う。

ところで私にとってスヌープ・ドッグは世界一かっこいい男の一人なので、彼の出演シーンが多いだけで観る価値があった。何を着ても似合う抜群のスタイル。どんな個性的な髪型も自分のものにしてしまうオシャレさ。ブレないワルさ。自分の容姿を自由に選べるならスヌープ・ドッグになりたいわ〜(男の場合)。

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『ビーチ・バム』ではムーンドッグの親友ランジェリー役ですが、「成功したラッパー」というほぼほぼ本人役。普段からああいう生活してそうw ラスタとジャマイカに行くシーンは主演ドキュメンタリー『ロード・トゥ・ライオン』を思い出す笑。そしてラスタの吸ってる葉巻がすごい。特大。

ランジェリーがムーンドッグに妻ミニーとの浮気を告白したあと、二人で「ほんとにいい女だった!!また会いたい!!」と語り合うのは、ホモソーシャル的な嫌な感じのしない、良いシーンだった。ランジェリーの「彼女にとって俺は体だけだった。彼女は君を本当に愛してたよ」という友への気遣いも良かった。というかミニーの立場が理想的すぎる。笑。

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放火癖のある若者役だったザック・エフロンも良い味出してたし(なぜか「闘魂」ハチマキ、いちゃつく女はビッグガールなドラァグクイーン)、危なすぎるイルカツアーをやってるワック船長(マーティン・ローレンス)も足をサメに喰われてるのに全然深刻になってなくて笑った。

あと、これは新しいかもと思ったのが、こういう破天荒系・自由人系な主人公にカチッとした雰囲気のセレブ妻がいて、お互い結婚を嫌がってないところ。もちろん浮気はバリバリするけど夫婦として愛し合ってるし、娘も文句は言うけど彼のことが好き。彼の自由な生活の裏で家族が苦しんでる、みたいな描写がないのが面白い。むしろ、娘も頼れそうな男と結婚したのにそんな父の方がやっぱり好きで別れてしまってる。

つまり「しっかりした凡人よりめちゃくちゃな天才」を礼賛する映画なんだよね。

そして、ラブ&ピース。ラスタが出てくるのもそういうことだし、セックスはメイクラブ。愛を分かち合ってくれた行きずりの女たちに感謝!

ムーンドッグの生き方を自由と感じるかどうか、こんな生き方をしたいかどうかは人それぞれだと思うけど、セックス・ドラッグ&ロックンロール的な価値観、古くない?ダサくない?という時代の雰囲気や、飲んで騒ぐことが悪にされてしまったコロナ禍の閉塞感の中、ムーンドッグのようなキャラクターを魅力的に描いてくれたことが嬉しい。私はすごく好き。

あと、こういうポジティブな男性性の表現もできるんだよ、という意味でも良かったな。

★NANASE★

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