読書感想:働く女子のキャリア格差

正産期に入りましたが、まだ赤ちゃんの頭の位置が高いとのこと。出産まではもう少し時間がかかりそうです。


産休中の勉強として、書籍を読むだけではなかなか後に残らないので、読んで身になったこと、思うことを書き綴っておこうかと思います。

女性が出産後に仕事で活躍するために、個人・組織両面から何をすべきか?といったことがテーマになっているようです。


1章では、男性上司と女性部下の視点の違いについて取り上げられています。男性上司側は配慮したつもりなのに、女性部下側にとっては育休明けにサポート業務に回されたり、長時間勤務にならないように他の人に仕事を割り振りされることで自分が迷惑をかけている、という罪悪感を持ったり、出産前の女性であれば、出産後には辞めるかサポート業務部署に配置転換されたり・・・といった、5つの事例を男性上司・女性部下側双方の視点から取り上げています。ここで問題になるのが、ミスコミュニケーション、お互いが相手の価値観を考慮せず、自分の価値観で判断していること、ということのようです。


2章・3章では、育休制度によって働き続けられる反面、時短利用によるマミートラック(昇進から遠ざかってしまうキャリアコース)に陥ってしまうという話、それに対して女性側としてできる一番わかりやすい方法は、時短をなるべく使わず、フルタイムで復帰するとのアドバイスでした。時短制度を利用すると、「挑戦的な業務に取り組まない」というメッセージを周囲に与えてしまうためです。時短でなければ難しい場合は、ゆるい働き方を求めているわけではない、という意思表示をする、といったアドバイスもありました。

・・・個人的な感想を言えば、育休明けフルタイムで復帰するきつさもわかるので、最初からフルタイムで、というのではなく、いつくらいからフルタイムにしたいのか、や、時短だけれどもどのように成長していきたいのか、1章で取り上げられたミスコミュニケーションの問題を、女性部下の立場から解消していくことが大事なのではないかなと思います。上司の側としては、個人のプライベート、ライフプランに切り込んでいくのは難しいことと思いますので、自分から発信していくことが重要なのではないかと思います。

そのために一つ重要なこととして、先輩女性社員の実際のところを、育休前・育休明けに知っておくのが大事だと思います。例えば復帰後最初の1年くらいは欠勤が多くなってしまったり、子供も小さくて手がかかるけれども、2~3年くらいしたら時短しなくても仕事を回せる、といった現実があれば、復帰後のプランが立てやすいのではないかと思います。


4章では、出産前には活躍していたのに、出産後に就労意欲が下がるぶら下がりが発生していることについて焦点を当てています。特に時短勤務者に多く発生しているとのことです。

管理職の配慮、突発的な欠勤に対する業務の滞りへのリスクとして、時短勤務者を責任の少ない業務に配置し、女性部下の側としても、やりがい・評価がないことにより、就労意欲を下げている、その結果、不本意ながらぶら下がり社員になる、とのことのようです。

個人的な意見としては、上記に加え、時短による画一的な給与引き下げも、就労意欲の低下につながっているかとは思います。前章で、挑戦的な業務に取り組む意思表示として、成果を出すために生産性を高めて8割の労働時間で10割の成果、といったことも取り上げられているのですが、給与が8割のままでは10割の成果を出し続けることはモチベーションを保つのが難しいと思います。(一部の企業は時短中給与引き下げをしないところもあるかもしれませんが、多くの企業は時短中は給与&ボーナスは給与に合わせて引き下げると思います。・・・労働時間が必ずしも成果につながっているわけではない業務に対しても。)

モチベーションについては、私自身の経験では、育休明けは、一番モチベーションが高い時期で、少ない時間でも出産前以上に効率よく業務をこなして頑張ろう、とか、1年近くも育休をとらせてもらった会社に感謝、といった気持ちが強かったのですが、その後時短勤務の給与&育休明け1年間は昇進なしとのことでかなりモチベーションは下がった記憶があります・・・(時短は給与面のモチベーションの問題から、半年内で解除しましたが) 給与が上がったときのモチベーションに比べて、下がった時のモチベーションの低下は、もともとわかっていた額とはいえ辛いものがありますので・・・時短社員に対してだけでも、短時間で成果を出したのであれば、それに見合う分を補填してもらう給与制度になっていればよいなと思いました。


ぶら下がりに対しては、子育て中の女性社員だけではなく、キャリアのメインコースを外れた中堅以降の男性社員にも発生しているように思いますし、ぶら下がりを許容する業務があることも問題の一つではないのかな、とは思います。ただ、ぶら下がりが完全に悪か、と言われると、必要な業務をこなしているのであれば(会社に損失を与えているわけではないのであれば)、それ自体が完全に悪いものとは言えないような気もします。ただし、成果を出せなければ給与が下がったり、将来会社の業績が悪くなった際にリストラ候補になったり、といったデメリットは本人も考慮しておく必要があるのだと思います。(ぶら下がり社員は周りの社員の士気、特に若手社員の士気を下げることにはなりますが・・・) 子育てである意味重労働なのに、それに加えて仕事も100%で頑張れ、というのも、なかなか過酷、とも思います、私もぶら下がれるならぶら下がりたいよ~、って思う時もありますもの。


5章は女性が活躍している企業の具体例として、副業を解禁した企業の話、フレックス&在宅勤務の発展形となる制度を設けた企業の話、残業ゼロにすることで事業成長していく企業の話。特に最後の企業については、「女性は長期思考で、安心して働ける環境を整えれば心配がなくなり、ポジティブな方向で働ける=成果が出る」という考えであることが興味深いと思いました。

私自身は、女性の立場として、男性は割と将来の状況への不安(例えば家庭を持ったり、子供が生まれたり、親の介護が必要になったり)といったことが強くないのかな、女性の方がライフプランに不安を感じ、先のことを考えて離職したり転職したりするものなのだな、と感じました。


6章、7章感想は飛ばして、終章では「育休プチMBA」を受講した人の話。育休プチMBAの内容についてはほとんど触れていませんが、受講することによって、女性自身の視点→管理職の視点、会社全体の視点に切り替わる、その結果、マミートラックに陥るのではなく、より成長できる環境に自身を持っていくことができる、といった内容です。育休中の学びにより、業務スキルを身につけるわけではないですが、視点と意識の変化をもたらすことで、その後の活躍につながる、といった話です。


タイトルからはキャリア格差とありますが、子育てを並行してキャリアを築いていくには、マミートラックに陥らないようにするにはどうするか、といったところに焦点を当てているように思います。(例えば4章で出てきたぶら下がりについて、ぶら下がった後どのような格差になるか?といったことに対してはあまり触れていないかと。)あと、「女子」って何歳までなんでしょうね、といったツッコミはありますが。

筆者が子育て経験があり、仕事で活躍している女性であること、登場人物・事例についても活躍している女性の話が多いことから、出産・復帰後に仕事を頑張ろう、と思っている女性にとっては励みになる書籍かなと思います。一方で、復帰後に読んだら、子供を抱えて仕事をして一生懸命頑張っているのに、ここまでやらなければならないのか・・・とへこんでしまうかもしれないなぁと感じています。子供を産んでも仕事で向上していきたい人向けの本かなと思います。


この本を読んで、自分の第一子育休復帰後のことを振り返ってみたいと思いましたので、今後の記事で書いていきたいと思います。




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?