問題提起のためのコピーライティング術④

比較で興味を引く

興味を引くための効果的な表現方法の一つは、何かと何かを比較することだ。
これによって、読者の興味を引く「ギャップ」を生み出すことができる。
どういうことか説明しよう。

大ベストセラーとしておなじみの「金持ち父さん、貧乏父さん」という本がある。
このタイトルを見るだけでも分かるように、「望ましいもの」と「望ましくないもの」を対比させられると、「その違い(=ギャップ)はどこにあるのか?」と自然に知りたくなる。

コピーライティングの歴史上、最も有名なセールスレターの1つにウォール・ストリート・ジャーナル購読の広告がある。
この手紙一本で、累計数千億円を売り上げたとも言われている。
この手紙の中では、よく似た大学時代の同期の2人が登場する。
25年後に再会したときもよく似ていた。
しかし、一人は社長で、一人は管理職に過ぎなかった。
そして、その違いは「ウォール・ストリート・ジャーナルを読んでいたかどうか」だった、というオチになっている。

このように、2人の主人公を比較するだけで、すんなりと理解できるようになる。
「対比」という演出方法は、明暗を分けたストーリーがあることを暗に示し、読み手の心をつかむことができるのだ。

注意を促し注目を集める

人間は、「のぞかないでください」と言われると、なぜか、のぞいてみたくなる。
心理学では「カリギュラ効果」と呼ばれている。

「カリギュラ」という名前の由来は、ローマ帝国の皇帝「カリグラ」をモデルにした「カリギュラ」というイタリア映画だそうだ。
内容の過激さからアメリカで公開禁止になり、それが原因で逆に話題になってしまった逸話から来ているとか。

ここでは、命令したり禁止したりすることで注目を集める表現をご紹介する。
禁止されると余計にやりたくなる心理を逆手にとって、コピーの世界でも「読むな」「買うな」「するな」などの表現がよく使われる。

そういった表現は、読み手の注意を引くが、使い方には注意が必要だ。
禁止や命令をされることを好む人はほとんどいないので、誰から言われるかがポイントになる。
その道の権威者や達人、信頼する誰かから言われれば、「何だろう?」となるが、よく知らない人から言われた場合、「あなたに言われる筋合いはない」と拒絶される危険性がある。

また、「するな」という直接的な表現が強く聞こえすぎる場合は、「しないでください」などマイルドな表現にするとよい。


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