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マラソン初心者、挑戦してよかった|第41回カーター記念黒部名水マラソン
一面青い富山湾と、まだ雪が残る山々。
沿道のおばあちゃんたちに危うく、「ここの景色、本当に最高っすね!」と、走りながら声をかけそうなくらい、その光景は誰かと共有せずにはいられなかった。
先週の25日、26日に行われた富山県の黒部名水マラソン。私は26日の10kmの部に出場した。これが、人生で初めてのマラソン大会だった。
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朝6時過ぎ、富山駅からあいの風とやま鉄道に乗る。
マラソン大会の朝は早い。それでも2両のローカル電車はランナーでぎっしりだった。
ああ、本当にこれから走るんだ……。
ひとり電車の隅っこに立ち、セブンで買ったホットカフェオレと練乳ミルクフランスを食していて、急に恥ずかしくなった。朝からこんな食事をしているランナーはひとりも居なかったからだ。
同じ日には9時からフルマラソンが控えていた。電車に乗っていた人のほとんどは(おそらく)フルマラソン出場者で、格好も体つきも心構えも、そして少しこなれた感じも、何もかも違っていた。
すごいなあ、私はたかが10kmだし……。
気後れしたまま最寄の黒部駅に着き、シャトルバスで会場の黒部市総合体育センターに向かった。
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会場についてからそれは、過度な緊張に変わった。
総勢8000名以上が参加する本大会。見渡す限りザ・アスリートで、私もこのアスリートの一員なんだという実感と、本当にこんな場所に居ていいのかという不安が、一気に押し寄せてきた。
走る前から心拍数が上がる。
今回の大会の目標は【完走して、「マラソン楽しい」と思うこと】だった。楽しいと思うかは走ってみてからのお楽しみとして、完走はほぼ確実に狙えた。
けれど、周りの人はみんな、レベルが違うようにみえる。
ビリでもいい、自分のペースで走ろうと思っていたけれど、本当に太刀打ちできるのか。そして本当に完走できるのか。開会宣言が始まってもドキドキが止まらず、ずっとメインアリーナの2階席でひとり座っていた。
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そんなことはすべて、杞憂だった。
箱根駅伝で東洋大の山の神として知られる、ゲストランナーの柏原竜二さんは、マイクでしきりに「無理しないで、自分の目標に向かって走って」と言っていた。「周りはみんな仲間ですよ」とも。
そうだ、自分は自分で楽しめばいい。
スタート位置に立った高揚感と共に、不安は「早く走りたい!」に変わっていた。
「いってらっしゃい!」
「気いつけて帰ってくるんよ〜」
「埼玉がんばれ!」
「遠いところからご苦労様ね〜!」
自分が走るほど、行く先々で地元の人の温かい声が聞こえる。タンバリンや太鼓など鳴り物を使って応援してくれる人、プレートを作って応援してくれる人。おばあちゃんが応援しながら持っていたのは、赤ちゃんが使う小さな手持ちの黄色い鈴だった。可愛すぎて笑った。
ありがたい。嬉しい。ずっとにこにこしていた。手を振りまくった。だって、こんなに楽しい。
きっと走ることに必死になるだろうと思っていたのに、こんな余裕があるだなんて。自分でもびっくりだった。
そして、少し体力がキツくなったときに大変助かったのが、柏原さんの声かけだった。きっと彼は「この辺りでみんなキツくなるだろう」ということがわかっている。颯爽と現れては「がんばれ!」と鼓舞して、ハイタッチをしてくれた。それも、10kmの間に3度も。気持ちの上げ方をわかっている彼はやはり、生粋のアスリートだ。
残り1km。「え、もう終わっちゃうじゃん!」そんなことを思う自分にも、驚きすぎて引いた。
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初めてのマラソン、本当に楽しかった。
個人競技のはずなのに、みんながひとつのゴールに向かう、その過程がなんだかチーム戦のように感じた。
そして、一生懸命な大人はかっこいい。
大人になると、わざわざきついことはしなくて済む。体育の授業で無理やり走らされることも無くなるし、宿題を忘れて怒られることもない。
だから、やらなくてもいいことをあえて自分に課して、苦しい顔をして、それでも必死に頑張る大人って、本当にすごいと思う。
最後に、これは当日知ったのだが、黒部名水マラソンはランナーから人気が非常に高いマラソン大会だそうだ。「おもてなし」「料理がおいしい」「景色がきれい」確かに私はこれらの全てを体験した。
「富山行ったことないから行ってみたいな」そんな軽い気持ちで初めてのマラソンをここに選んだのは、とても運がよかった。
次はフルを走れるように。そんなやる気がむくむくと湧いてくる。
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