成功じゃなくて成長にこだわろう
いいことばだな〜、と思いながら、スマホ片手に合奏後のミーティングに参加した。いいことばに出会えたら、すかさずスマホでメモをとる。人の記憶は何よりも信用できない。
私は今年7月からアマチュアオーケストラに所属しています。
練習は毎週木曜。いまは11月の演奏会に向けて練習中です。
11月の曲はもう、大曲揃いなんです。知らない方がほとんどだと思いますが一応曲名を挙げておきます。
ベートーヴェンの交響曲第3番(以下、「英雄」)、ブルッフのバイオリン協奏曲1番、歌劇・セビリヤの理髪師。
特に交響曲は、だいたい1楽章から4楽章で構成されるのですが、1楽章だけで20分もあったり。通しで聴くと1時間くらい。
聴くの大変ですよね。そりゃ眠くなる。
演奏するのも大変なんですよ。
そんな大曲どもを現在練習しているわけなのですが、私の団はプロではありません。
ついでに7月末には別の曲で別の演奏会があったので、本腰入れて練習し始めたのは先月から。
アマチュア楽団が1ヶ月ちょっと練習したくらいで、うまく演奏できるわけないんです。これは例外なく私も。
音楽を表現しろ、と言われても
「英雄」の4楽章の練習。冒頭20小節くらい演奏したところで指揮者が止めて、私を見る。
「そんな真剣な顔して吹いてるけど、この曲そんなに深刻な場面?」
弦楽器とファゴット(私が担当する木管楽器)の掛け合いの場面。私の音がむき出しになる。しかもまだ練習して日が浅いので、譜面をしっかり追わないと不安。かなり集中してました。
その結果「顔が怖い」と。散々な言われようよ。ちゃんとやってるのに。
「まだ音楽的に表現する余裕がないです」
「技術的なことはいいからさ、どう表現したいかを示さないと、音楽が作れないよ」
ああ、またか。
私はよく、こういう類のことを指揮者に指摘される。
音に感情がない。何も考えていない、と。
わかっているけどさあ、まだその域まで達していないんだよ、と、いつも通り不満を抱えながら合奏は続いた。
合奏は、うまく演奏する場所じゃない
技術不足からくる緊張や不安は、他の人にも表れていた。3連符が機械的な動きだったり、音階で駆け上がるフレーズがエチュード(練習曲)っぽかったり。
合奏から2時間、指揮者はこう声をかけた。
「間違えてもいい。今は練習なんだから、成功することが目的じゃない。成長にこだわって。」
失敗を恐れ、うまく吹こうとして音楽的な表現を殺すことの方が、指揮者は許さなかった。そうか、合奏って学びの場だったっけ。
いろいろな場に応用できそうな、「成功より成長」論
「成功じゃなくて成長にこだわる」ことを他に応用すると、もはや失敗の概念なんて無くなるんじゃない??
だって、たとえうまくいかなくても、「いまは成長にこだわってるんです」って言っちゃえばもう、それは成功でしょ?
無敵なことばとマインドを手に入れてしまいました。
いつも論破してきてちょっと舌打ちしたくなる指揮者だけれども、今回ばかりは大変感謝してます。