私は、企画でメシは食っていけない
「メモを取るほど大したことは言えないので、取らなくていいです。みなさんのお顔と耳を3分間、私にください」
「企画メシ」。初回も最後も、席はいちばん前の左側。隣は偶然にも、初回と同じメンバー。初回も楽しくお話ししていたけれど、今は語尾が敬語からタメ口に変わっていた。
いちばん前の席は、発表者の緊張や温度を感じる。小刻みに震える手まで、ちゃんと見える。でも、その発表を聴くみんなのことは見えない。
27名のゲスト講師(企画生)の、26番目。前に立つ私はやっと、企画生の顔を見れた。
膝に置くパソコンやノートから顔を上げるみんな。半年間一緒に頑張ってきた仲間たちを見渡して、私はほっと安心する。
緊張しなかったわけはない。けれど友だちに話すように、想いを紡いだ。途中想いがこみ上げて、声が震えた。私もやっぱり泣くんだ。自分の言葉に泣くって、なんて心が震える体験なんだろう。
問い
あなたはどんな企画をする人になりますか?
答え
私は、「気づいたらやっていること=ゼロ秒企画」をする人になります。
企画にはタイトルを付けること。
「伝わる」とは「思い出せる」こと。
言いたいことはシンプルにひとつだけ。
その企画は自分を通過しているか?
まずは自分と組むこと。
企画の「動機」に人間味を感じる。
物語の主人公はたいてい、なんとかしたいと思っている。
どれだけ考えても、私の企画は敵わない。
「クリエイティブ職(笑)」って言っちゃうくらいにはクリエイターじゃないし、尖った強みもない。到底これでメシは食っていけない。やっぱり無理だ。みんなの推し企画3選を見るのが、つらかった。
そんな私にも、強みを掬って「すごいね」と言ってくれるときがある。「続けていることがすごい」「フットワークが軽くてすごい」。
そんなこと、って思っていた。
でも、私に残っているのは「そんなこと」しかない。
0→1が苦手なら、生み出されたものを最大限引き出すしかない。
考えても敵わないなら、圧倒的スピードと継続力で勝負するしかない。
そう、私はそうするしかない。
これはとても、前向きな諦めだ。
発表後、「ゼロ秒企画、よかったよ」と何人も言っていただけた。「伝わる」は「思い出せる」こと。私の企画、伝わったよ。
企画メシ2023 08遠藤美果