出会えるぶどうが毎日変わる?!智頭町で30種類のぶどうを育てる『ちづの農家旬菜屋』|智頭町滞在記③
滞在中のゲストハウス楽之への帰り道、路地の曲がり角にひらひらとクリーム色の旗が立っているのを見かけた。どうやら直売所らしい。こういう場所に立ち寄ると、必ず買わなきゃいけないような雰囲気になるから、すこし苦手だ。
けれど、せっかくなら。意を決して正面まで向かうと、今までの錆びれた「直売所」概念を覆す、可愛らしい看板とたくさんのぶどうが出迎えてくれた。
『ちづの農家旬菜屋』は、毎年ぶどうの収穫時期に合わせてガーデンマルシェを開催しているそうだ。期間は、8月末から10月末ごろまで。ちょうどこの時期に滞在できた私は、とても運がいい。
棚に並ぶぶどうを眺めていると、「こんにちは〜」と、可愛らしい奥さんが迎えてくれた。「今日は暑いですねえ。ぶどうも暑くなるとすぐに『じく』が茶色くなっちゃうので、奥にスタンバイしているんですよ」
繰り返し「暑いですねえ」と言う奥さんはまるで、ぶどうたちの声を代弁しているようだった。
お馴染み品種から、見たことはあるけれど名前は知らない品種まで。『ちづの農家旬菜屋』では30種類のぶどうを育てていて、そのとき収穫できたものが棚に並ぶので、訪れるたびに違うぶどうに出会えるのだとか。
鳥取県の有名な食べ物を知らなかった私は「この辺りはぶどうが名産なんですか?」と伺ったところ、「3、40年前はぶどうの産地化を目指していたみたいなんですけど、今は智頭町ではうちともう一軒の農家さんしか育ててないんです」とぶどうの歴史を簡単に教えてくれた。たった二軒の農家で智頭町のぶどうを支えて、しかもそのうちの一軒で30種類のぶどうを育てるのだから、すごいことだ。
私は小さなパックに入った「ブドウの宝石箱」を手に取った。様々な種類のぶどうを食べられる、いわゆる詰め合わせセットだ。値段も400円と、手に取りやすい価格。
「そちらは、いろいろな種類を食べられておすすめですよ!気に入ったものをまた購入いただくのもいいですし」と、奥さんにも勧めていただいたので、買ってみることにした。
ぶどうは大好きだけれど、なかなか自分で購入する機会もない。わくわくしながらゲストハウスに戻り、早速冷蔵庫で冷やした。
その日の夜、noteのお供に、ひと粒ずつ大事にいただく。味の違いを感じながら、時折入っているだろう種に集中しながら。
美味しい、全部美味しい。けれどこうして食べ比べても、シャインマスカットが私はいちばん好きだった。
少し食べて残りは明日……なんてことはできるわけがなく、食べる手は止められなかった。種はひとつも入ってなかった。
直売所は苦手、だったけれど、このぶどうには出会えてよかった。
奥さんは最後に「買わなくてもいいんで、またいつでも来てください」とやさしい言葉をかけてくださった。
ちなみにこれは後からHPを見て知ったことだが、奥さんはアナウンサーと農家の二足のわらじを履いているらしい。話し方が丁寧なのはそういうことだったのか……!
このぶどうを、パートナーと実家にひとつずつ郵送しようかな。そんなことを考えてながら、また奥さんと新たなぶどうたちに出会うのを楽しみにしている。
▼『ちづの農家旬菜屋』の発信はこちらから見れます!
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