あの世にも昇格制度があるらしい
私は現在、実家で母と2人暮らしをしている。
この家にはたまに、いろいろな人が訪れるらしい。夜寝ている間、ベッドの脇に飾るぬいぐるみを子どもたちが見に来たり、犬が上に乗ってきたり。私と母のベッドの距離は10mと離れていないのに、不思議なことに母だけがそれを認識できる。
母は特別霊感が強いわけではないけれども、「誰かが私の上を歩いてたんだよ、トントンって」と、朝起きて早々私に報告を入れる。最初は少し気味が悪かったが、今ではエンタメのように楽しめている。
そんな母が先日「来たのよ。パパが」と言った。昨年4月に亡くなった私の父親が、母のところに「帰ってきた」らしい。
「今何してんの?って聞いたの。そしたらなんか、食品を管理する仕事しているみたいで、「もうすぐ上に上がれるんだ」って、自慢げに話してたよ」
どうやらあの世でも労働があるらしい。しかも昇格制度まで。生前も真面目に働いていた父だったが、あの世でも変わらず頑張っているみたいだ。
亡くなった人がこの世に「帰ってくる」には、お金がかかるらしい。
前回父がこの世に「帰ってきた」ときも簡単な会話をしたそうだが、父があの世に戻るために家を出ると、他の亡くなった人たちもみな一斉にぶわっと家から出て行ったそう。
みんなで戻れば団体割りで安くなるのかな〜?なんて、母と話していた。
今回、母はそんな疑問を父にぶつけた。
「こっちに帰ってくるのも大変なんでしょ?お金がかかるって聞いたよ」
「うん、この前は帰れなかったんだよね」
どうやら、もっと早くにこの世に「帰ってくる」予定だったらしい。「前回帰れなかった分貯金できたから、今回長く滞在できたんじゃない?」と、母は言っていた。
死後の世界は、意外と生前とあまり変わらないのかもしれない。
いや、もしかしたら父はすでに何かに生まれ変わっていて、そこで頑張って働いているのかもしれない。
もしそうだとしたら、どんな形でもまた巡り会えたら嬉しい。