お料理徒然 「いわしの辛煮」
鮮度の良いカタクチイワシが入ったらぜひ作りたい逸品です。
少し前まではネットにはレシピが載っていない古典料理でしたが、最近土井さんがUPしてから少しレシピが公開されてきています。
こういう古典というのは、どの分野でもそうですが知るものが居なくなれば終わりです。
辻嘉一先生の本を読んでいるとつくづく感じます。
古典というのは優れているから残っているわけで。
最強の酒のつまみともいえるいわし辛煮をどうぞ。
作り方
・いわし適量(800gくらいかな?)
・米酢400cc
・みりん160cc
・酒160cc
・濃い口醤油300cc~400cc
・梅干3個
・必要なら針生姜
※分量はすべて「くらい」です。
その場に応じて好みで合わせてください。
①いわしは頭と腹を取り、邪魔なら尻尾も切ってください。
その後2~3回よく水で洗います。
その後塩分10%の氷水に10分ほどつけておきます。
すると鍋でくっつきません。
②酒1、みりん1を火にかけ、アルコールを飛ばす。
火事が怖い方は火をつけずとも沸かせばOKです。
※仕上がりに差は出ます。
③鍋にいわしを並べ、米酢を入れていきます。
②は後で使うのでご心配なく。
酸味を弱めにしたい方は「酢1、水1」も可です。
米酢がなければ穀物酢でもOKです。
ここでしっかりした酢を使うと味に丸みが出ます。
④火にかけていきます。
灰汁が出ますからきれいに取っていきます。
画像が逆さなのは多分風邪気味だからでしょうか。
⑤灰汁を取り終えたら落し蓋をして、15分ほど中火で煮ます。
ここで1時間ほど煮ると、えもいえぬ柔らかさになります。
ただ、いわしとしての味の個性が減ってしまうので私は15分です。
落し蓋というのは強火でも魚が暴れず皮がはがれなかったり、熱効率がい
いため、野菜なども煮あがりがきれいになります。
⑥時間が来たら、煮汁を捨てます。
落し蓋を押さえつつ斜めにしてこぼします。
旨味が流れてしまいそうですが、余分な脂が捨てられてキリっとした
仕上がりになります。
⑦先ほどの②を鍋に入れて火にかけます。(今回は300ccとします)
⑧沸いたら梅干をちぎって入れていきます。
この梅干は塩分でもあるので入れすぎ注意です。
今回はたねも含めて3個分入れてます。
また、梅干の選定は気を付けてください。
低塩分の梅干は酸味も旨味も少し変な味がしますので使わぬほうが無難で
す。普通の高塩分の昔ながらの梅干が理想です。
私に言わせれば、あの低塩分の梅干はもはや梅干でもなんでもありませ
ん。梅干の形をした添加物まみれの何かです。
間違ってもこのレシピのためにとお金を出してかったりしてはいけませ
ん。
⑨5分ほど強火で炊いたら醤油300~400ccを入れます。
江戸っ子なら600ccとかでもいいくらいです。
ここの醤油の量は好みでしかありません。
画像はこんなペットですが、しっかりしたヤマサの本醸造です。
⑩そのまま中火で煮あげていきます。
ここからが辛煮の大切な部分。
鍋底を焦げ付かせぬよう、十分に留意しながら様子を見ていきます。
時には弱火にすることも。
後半にになりましたら、煮汁をかけまわして味を均一にします。
焦げ付きを恐れて煮汁が残るうちに火を止めてしまうと、火持ちも悪く
味にも影響します。
焦げ付かず、かつ最後の1滴までいわしに吸わせようという気概こそが
本当のおいしさを作ると考えています。
たかがいわしの煮つけですが、突き詰めれば何物にも代えがたい生命の
おいしさを感じずにはいられません。
⑪煮汁がなくなるまで煮ましたら、熱が落ちるまでおいておきます。
熱がとれましたら清潔な箸で容器に移してください。
菌の繁殖さえ気を付ければ冷蔵で2か月はもちます。
常備菜として重宝しますよ。
仕上がった辛煮は鉄色に仕上がっています。
世間でいうような濃厚さが欲しい方はたまり醤油と水あめで仕上げれば
良いかと思います。
市販のつくだ煮などにある艶は確かに食欲をそそりますが、あれは
化学合成による薬品が照りをだしている場合がほとんどです。
食べ物の価値は表面の光沢などでは決まりませんよね。
愛情です。
少し手のかかるレシピではありますが、いわしは仕込みがしやすい魚だし、素材が安くて仕上がりも美味しくてもちもいいため、ぜひ作ってみてください。