◯ 息子さんのはなし
色白の赤ちゃんだった。
私と夫の何かを本当に受け継いでいるのかと疑うほど、高貴な雰囲気をたたえていた。
しずかな赤ちゃんだった。
泣く声は小さく、夜間授乳のため起こしても起きない。1ヶ月検診の際に伝えると『 性格もありますからね 』と医師は言った。ミルクの飲みが悪く体重が増えず助産師さんに叱責されて泣いた。
生後6ヶ月の時に、ダウン症があるとわかった。血液検査から判明するまでの2週間、図書館の本を読んだり、『 心の準備をしておいてほしい 』と実家へ電話したり、希望を見つけようと『 ダウン症 しあわせ 』で検索したりもした。描いていた子育てのイメージを変えなくてはいけないかもしれない。
検査結果を聞く日、担当医師は普段よりやや饒舌で、淡々と告げた。
私も夫もその時点でいくらかの知識を持っていたので、『 わかってよかった、未知のものでなくて良かった 』とほっとし、赤ちゃん時代の謎のすべてがつながった気がした。
落ち込みの波も来て、泣いたり電話したり。夫は覚悟していたのか、ほとんど落ち込んでおらず、泣いたり取り乱したりすることはなかった。どちらかといえば未知のことに少しワクワクしているようでさえあった。彼は社会に対して自分のものさしをもっている。
『 自分たちの知らない道を進むかもしれない、支援学校に行くのも面白そう 』と夫。
支援学校へ行くのはたしかに面白そうだと思った、どんな学校なのか見てみたい。夫は福祉の支援を少し調べて教えてくれた。
時々落ち込みながらも、とにかくメリットや光のあたることを探していくことにした。
『 家族に障がいのある人がいる 』
ということが、内側から見るのと外側から見るのとこんなにも違うことに驚いた。ある日突然、内側の人になるのだと。自分自身がたくさんの恐れと偏見を持っていた。
内側から見ると、大変なことが時々ありながらも 『 大層いとしい存在 』だということがわかった。
『 大変なこと 』というのはどんな子育てにもあるだろう。そのエピソードが社会制度や本人の得手不得手などにより、やや共感が難しかったり、重ねにくかったり、ということになるのかもしれない。
落ち込みやショックはグラデーションで時々あらわれ、よろこびと希望も小さい花々を不意に咲かせる。
今息子さんは元気に4歳になり、これまでたくさんのダウン症ママとの素敵な出逢いがあった。これから少しずつ色んな方に心を開いて行けたらと願いをこめて、このはなしをかいている。息子さんもわたしも旅するように色んな色に染まっていきたい。
こちらの企画に参加させて頂きました✨⇩