本当は、叫びたい
本当は叫びたい。
行ってほしい。
行ってほしい。
本当は叫びたい。
行ってほしい。
友だちや先生といろんな体験をしてほしい。
外で思いっきりお腹抱えて笑ってきてほしい。
汗だくになって遊びまくってきてほしい。
「ただいま!今日ねこんなことがあったよ」って、たくさんたくさんお話ししてほしい。
一体、いつまで続くの
一体いつまで。
本当は叫びたい。
行ってほしい。
「行きたくない。家の方が安心する」
今日は快晴だ。
フリースクールではさつまいもほりがある。
いつものように準備をしていざ出かけようとしたら、「行きたくない」いつもの儀式だ。
何でだろう。
行くといつもあんなに楽しい顔しているのに。
何で。
何度も何度も手放してきたあの気持ちが、あの気持ちが。
手放したはずなのに。
手放したはずなのに。
行ってほしい。
叫びたい。
目の前で、行きたくないとゴロゴロしている息子を見ていられない。
叫びたい。
家にいたっていい
笑顔があれば
本人が安心なら幸せなら
それでいい
学校やフリースクールがすべてじゃない
大丈夫
大丈夫
行きたければ行くだろうし
今日は気持ちがのらないだけ
だから
大丈夫
そんな気持ちはあまりにも薄く、その下にある、手放したはずの手放したと思っていたそれが、いとも簡単に突き破って一瞬にして私の心をモヤ色に変えた。
息子が、リビングに秘密基地を作りだした。鼻歌まじりに。
その鼻歌を聞いてられなくて、両耳にイヤホンをつける。早く、早く、歌声が聞こえる。聞きたくない。早く、曲、曲は何にしよう。明るいのがいい。スピッツだ。スピッツにしよう。
幼い微熱を下げられないまま
神様の影を恐れて
隠したナイフが似合わない僕を
おどけた歌でなぐさめた
スピッツが流れ出す。
ホッとする。
リビングを占拠され、居場所をなくした私はいつものように2階の寝室にこもる。
窓際のちょっとした段になっているところに腰掛け、スピッツを聴きながら木目調の床をじっと眺めた。
ぽと
ぽと
涙が床に落ちる。
私の
私の
少しずつ
少しずつ
重ねてきた
一生懸命重ねてきた
息子を理解したいという優しい色した気持ちは
一瞬にして
モヤ一色になった。
涙が床に落ちる。
ぽと
ぽと
耳でスピッツが優しく歌う。
本当は叫びたい。
行ってほしい。
手放したはずの感情が私を離さない。
床にゴロンと横になる。
スピッツが優しく歌う。
涙が、顔をつたって、床に落ちる。
息子が部屋に入ってきた。
何か言ってる。
でも、イヤホンをしているから聞こえない。
息子は行ってしまった。
何て言ったんだろう。
しばらく、スピッツを聴いていた。
モヤ色の私はリビングに降りた。
リビングは占拠され居場所がない。
キッチンにタブレットと椅子を持ち込み、noteを開く。
みんなからのコメントを読む。
コメントを返す。
コメントを読む。
コメントを返す。
コメントを読む。
心を込めて
コメントを返す。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
息子が様子を見にきた。
何か言ってる。
私は、イヤホンをはずし、温度が感じられない声で「なに」と返す。
「ぎゅー、しよ」
と、言う。
息子を見れない。
抱きしめられない。
息子は待っている。
私は
機械的に手を広げた。
息子はその中に入ってきて、私の膝の上に座り、私を強く抱きしめる。
息子のぬくもりを感じる。
あったかい。
息子を抱きしめる私は
とても冷たい。
きっと、伝わってしまっているだろう。
それでも、息子はぎゅっと私を抱きしめる。
強く
強く
抱きしめる。
私は、冷たい。
出てこい
出てこい
優しい色
出てこい
出てきて
出てきて
私の優しい色。
出てきてはくれなかった。
息子は、、行ってしまった。
何を
感じただろう。
私はまた耳にイヤホンをつけ、noteを読む。
みんなの言葉から
優しい色が
優しい色が
ありがとう。
ありがとうございます。
私は、来てくれた母に子守を頼み、
外に出ることにした。
いつもは自転車で出かけるけど
歩くことにした。
歩いて
歩いて
歩いて
歩いた。
私のモヤ色
風と一緒に
飛んでいって
いつものスタバは満席だった。
別のカフェに入り、コーヒーとフルーツケーキを注文した。
コーヒーを飲みながら
とにかく
この記事をスマホで打っている。
叫びたかった。
いつも
なんか
かっこつけて
きれいなことを言葉で並べている自分を
一度吹き飛ばしたかった。
もう、16時だ。
帰らなくちゃ。
私の積み重ねてきた
優しい色は
戻ってくるだろうか。
次は、楽しい記事が書けますように。
たまには
叫んだって
いいよね。
叫びの記事
ここまで読んで頂き
心から感謝します。
ありがとうございます。