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息子は捨てられない男なんです



宝くじに当たったら、迷わず最初にしたいこと。


「息子のアトリエを作る」


夫と私は本気でそう思っている。


息子は、常に何かを作っている。
スイッチが入ると、ご飯も食べずに作り続ける。
こちらの声はもう、聞こえない。
その集中力には大人の私たちも驚かされる時がある。

だから、我が家には、段ボール、ラップの芯、トイレットペーパーの芯、テッシュ箱、お菓子の箱、といったいろんな廃材に加え、100キンで工作に使えそうな材料をたくさん揃えてある。


アシスタント母さんは、彼が、「あれ、ある?」といえば、「あ!あれですね!」って、すぐ手渡せるように。


が、しかしここで非常に困っていることがある。
そう、彼は、

捨てられない男


なのだ。

なんでもかんでも「あ、これ工作に使えそう♪」と言って、とっておこうとする。


ヨーグルトのふた
プレゼントについていたシールやリボン
卵とかりんごとかキウイについているシール
なんかの破片
なんかのゴミ
なんかの糸くず
トミカとかおもちゃが入っていた箱
お寿司買った時の緑の葉っぱ

クッションからでる羽根まで


「これ絶対捨てないで」問題。


しれっとゴミ箱に捨ててあるのがバレたひにゃあ、もう、それはそれは大ごと(めんどくせぇこと)になるわけで。
子どもあるある。
なんだろね、ほんとに、ゴミ箱からチラッと見えてんの、見つけ出すプロだよね、彼ら。

そして、世の中のお母さんたちは、こう思うのである。


「なんで見えないようにゴミ箱の奥底に捨てなかったんだ私!」と。


私たち大人にはゴミに見えても、
彼らの目にはゴミには見えないんだろうな。
汚れなき瞳。

にしても、


もう部屋の中は、いろんな材料やら、息子の作品やらで溢れかえっている。
ほんとに、大袈裟ではなく、部屋の半分くらい占めてると言っても過言ではない。


貝殻にハマっていた時の貝殻アート
発泡スチロールで作ったジオラマ
粘土やプラ板の作品に至っては数えられないくらいある
魚釣りごっこで遊んだ時のお手製の釣竿と魚たち
折り紙で作った花も家中に飾ってある
廃材で作った車や動物作品
ティッシュで作った小鳥やハムスター
牛乳パックを11個繋げた電車だか船だか×2


ジオラマ



アルミハクを金槌で取り憑かれたように叩きまくって作った巨大な球


中でも1番悩ましいのが、段ボール作品だ。


一つ一つが、とにかく


でっかい。


この間は、フリースクールで、でっかいポルシェ作って、


夏休み前に自宅に持って帰らなくてはいけなくなり、、流石に、、、私も苦笑い。
で、解体することを約束になんとか持って帰り、記念写真を撮って、その後夫が汗だくになりながら解体した。

解体した段ボールも捨てないでと言ってきたが、強烈な一言で説得した。


「虫が湧くから」←これ、結構効く。

その他には、

2メートルくらいのマグロ
1メートルくらいの飛行機
1.5メートルくらいの豪華客船


サイレンヘッド(ってゆーなぜか子どもに人気のキャラクター)×2


子どもサイズでこわいのよ、これ




なんせ

でっかい


からさ、こっそり処分しようとしてもバレるレベルの存在感なわけ。
だから、非常に困っている。



段ボールとグルーガンを駆使して、ひたすら彼は作り続ける。
どんどん溜まりゆく作品たち。

「設計図は頭にある」とか格好いいこと言っちゃう7歳児。


作品を作り続けることは、ものっすごい大賛成なんすけど、どーにもこーにも、もう、生活スペースが埋もれてってる。

地味にストレス。

埃も溜まるしさ。



以前、作品や物を「手放す」ことについて話し合ったことがある。

「捨てる」という言葉は彼にとって非常に強い表現なので、「手放す」「リサイクルに出す」という表現を使った。
彼を傷つけなように、丁寧に、優しく、優しく・・・。

しかし、私は、地雷を見事に踏んでしまい、んまー大ごと(めんどくせぇこと)になってしまった。


彼の主張が始まった。


「どうしてお母さんはそんなひどいこと言うんだ。僕が愛情込めて一生懸命作った作品なのに、手放すことなんてできない」


的なことを、永遠と1時間くらい。
途中で、私は無の境地へ行ったので、あんまり内容は覚えてないが、とにかく、ずっと「愛情込めて」のフレーズを連呼していたのは覚えている。


わかるよ?わかるけどさぁぁぁぁ

あー、アトリエ欲しいわー


もう、ほんとに宝くじ当選しないかな。
大金落ちてないかな(オイ)。


今は、『作りたてほやほや作品』(第1陣)は一階リビングへ
『なんかちょっと忘れてる?作品』(第2陣)は寝室の一角へ

『もう絶対忘れてるだろ作品』は、私の独断で・・ありがとうリサイクルへ。
(もちろん全て写真におさめてあるし、力作は飾ってあるヨ)


怖いのがさ、もう忘れてるだろうと思ってこっそり捨てると、突如、「そういえば、前に作ったあの作品さ、どこにある?」とか言ってくる。

3年くらい前の作品だったりする(よく覚えてるな)

あるわけがない。

あの、子どもの、突如思い出して言ってくんのなんなん。
あれ、ヤメテ。


「お母さんはとっくに捨てちゃったよ」問題。


先日。
息子が遊んでる隙に、急に私のお片付けスイッチが入り、第2陣の中から大量に『もう絶対忘れてるだろ作品』を選び出し、ありがとうリサイクルすることにした。

ゴミ袋3袋になった。

第2陣作品を置いてある一角がなんとなーくスッキリした。
張り切りすぎたかなぁ、と内心バレやしないかドキドキしている。

息子が、その一角をじーっと見つめている時があった。


げ。
バレたかな。
牛乳パックで作った電車だか船だかの作品とか、作りかけの車とか全部ありがとうしちゃったぜ。
ドキドキ。

今の所バレていないようだけど、息子がその一角の前を通る度に、母に緊張が走る。

私の頭の中では、息子の「前に作ったあの作品出して」発言に対応するごまかし文句を、必死にストック中だ。

いくつかストックしておかねば。
相手が相手だからね。
なまっちょろい中途半端なごまかし文句は、すぐに見透かされてしまう。

1番効くのは、「虫が沸く」だけど、なんでもかんでも「虫が沸く」ゆーてたらいつかバレてしまいそう。

「カビが生える」「実家に一旦持ってってある」「幼稚園に寄付」

あとはもう、

「あれ〜そこにない〜?どこにいっちゃったのかなぁ〜」

「探しておくね!」

といって、しらばっくれて忘れさせるしかない。


今日も今日とて、目の前で粘土で何か作ってますよ。

今日も今日とて、溜まりゆく作品たち。


嗚呼、アトリエが欲しい・・・。

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