父の影響力は亡くなってから最大になる
亡くなった父の部屋の本棚には、トルストイの「戦争と平和」モッパーサンの「女の一生」など難しい本が並べてありました。
囲碁好きな父は日曜日になると、碁盤に石を並べて本を見ながら研究もしていました。
少女の頃、つまらない人という父のイメージ、また、存在感のない父が嫌でしたが、亡くなった後で私にとても大きな影響を与えてくれました。
真面目で働きものだった父との思い出はあまり記憶にはありませんが、心の奥底に記憶された戦争と平和、白と黒の二極性は無意識のうちに私の生き方に変化を与えてくれたようです。
◯父に学ぶ時
昔から父親とは家で一番偉い人と学びました。
野生動物のオスは、普段は群れには居ませんが、いざという時には獲物を捕り、家族の命をつなぎます。
私の父も真面目で口数が少なくて、思春期の頃は特に会話はあまりありませんでしたが、ここぞという時には本気で叱ってくれて、迷っていると黙って方向を示してくれた…。お給料の全額もすべて母に渡していたようです。
父親の存在というのは無意識のうちに娘の成長に重大な影響を及ぼしていきます。父親が支配的で娘の批判ばかりしていると、娘の異性に対する優しさ、愛情は育ちません。女性というのは、人生で最初に出会う男性を目標としていきますから、母親が父をどう見るかはとても重要なことです。
私は、母が「お父さんのお陰で」「お父さんのように」と言ってくれたお陰で、父を尊敬する事が出来たように思います。
父親の役割とは、たとえ亡くなっても姿が見えなくても、成長を促すことの出来る威厳性だと思います。
◯肉体から精神へ
父親の役割は母親とは全く違うものです。直接命を伝えられない父親は、母親に稼ぎを渡して母親、子供を守ることで尊敬され偉大な父親だと伝えられていきます。
野生の動物の本能でしょうか、メスは強いオスの種をもらって子孫を残そうとしますね。弱いオスは必要ないということでしょうか…。
父親の偉大さはこうして母親から子供に伝わり敬う心が育まれます。
そうすると、父の影響力が娘から孫へと伝承されます。
母は健康な肉体を育み、父は精神力を養います。この世は知識だけでは不十分で、社会を上手く生きるための法則が必要ですから、父からの学びは外へ向かいます。
◯父と母より進化する
女の一生は、父親の存在、在り方で方向性が決まるのかと思うと感慨深いものがありますね。
母はよく「お父さんじゃなかったらとっくに離婚」と言っていましたが、私もそう思います。
よくわがままな母に付き合ったなぁって…
私は母との関りで、心の中の戦争が始まりましたが父の影響を受けてようやく平和を感じられるようになりました。戦争と平和、白と黒、善と悪の二極を超えて、新しい未来に進んでいます。父と母からもらった命は、新たに女の一生を歩み続けようとしています。
皆様のお父様は、どのような方ですか?きっと無意識のうちにとても影響されていると思います(๑˃̵ᴗ˂̵)