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ファルスタッフの自己肯定感の高さを見習おう!
#5ヴェルディ《ファルスタッフ》講座が終了しました
Buon giorno! 去る11月17日(木)に、インターネットラジオ OTTAVAさんで開催している OTTAVA Accademia 「オペラでイタリア語!」配信講座、 #5 〈ヴェルディ《ファルスタッフ》で楽しい老後を目指す!〉が無事終了いたしました。
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これが噂のムソルグスキーTシャツだっ!
この講座は終了後も、オンデマンドでご視聴可能です。こちらからどうぞ。
今回のお題は、ヴェルディ《ファルスタッフ》だったのですが、現在、新国立劇場で上演中の《ボリス・ゴドゥノフ》の作曲家ムソルグスキーのTシャツをOTTAVAさんが制作し、それがとてもカッコいいので、このようなペアルックでの配信となりました。この《ボリス・ゴドゥノフ》は演出がかなり攻めていることなどから話題の公演で、冒頭でそのあたりを少しおしゃべりしています。
バレンボイム指揮、ベルリン国立歌劇場《ファルスタッフ》の映像
そして本題の《ファルスタッフ》。今回もキングインターナショナルさんにご提供いただいた映像を紹介しながら話を進めていきました。
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この映像でファルスタッフを演じているのはドイツ出身のミヒャエル・ヴォッレ。かなりのイケおじで、あまりお腹も出ていないので、彼なら自己肯定感が高いのもあたりまえかも知れません…。アリーチェがバルバラ・フリットリ、ナンネッタがナディーン・シエラ、クイックリー夫人がダニエラ・バルチェッローナ様(つい“様”をつけてしまいます😍)などなど、実力と美貌が揃った歌手たちが出演しています。フェントンのデムーロもぴったりの声。
演出のマリオ・マルトーネはイタリア人で、映画監督としても知られています。そのせいか演技がリアルで面白いのです。講座の中でもお話ししていますが、このプロダクションは、クイックリー夫人の扱いがけっこう凝っています。クイックリー夫人は、シェイクスピアの原作では過去にファルスタッフに結婚詐欺を起こされていたり、かなりアクの強い描き方をされていますが、そのあたりを取り入れているようです。
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「俺もこういうイケオジを目指すぞ〜!」(斎藤さん)
《ファルスタッフ》の台本を書いたアッリーゴ・ボーイトの才能とは?
講座では《ファルスタッフ》の中から名台詞、面白い言い回しなどをご紹介しています。このオペラの中に出てくるイタリア語の諺についての説明も。
《ファルスタッフ》は、ヴェルディのオペラの中でも台本の素晴らしさで有名ですが、その台本を書いたのがアッリーゴ・ボーイトです。
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ヴェルディの晩年の芸術に大きく関わっています。
詩人としての語彙の豊かさ、発想の豊かさ、韻の踏み方など全てが素晴らしいといわれるボーイトの台本ですが、それに加えて、彼が書いたヴェルディ《オテッロ》と《ファルスタッフ》に共通するのは、シェイクスピアの原作から台本を作り上げる手腕です。オペラの方が面白い!と思わせてしまう構成力が卓越しています。
新国立劇場で2023年2月に上演される《ファルスタッフ》
来年2月に新国立劇場で上演される《ファルスタッフ》に主演するのはイタリア人歌手のニコラ・アライモさん。すでにスカラ座やMETでファルスタッフ役を歌い、特にスカラ座での彼のファルスタッフの演唱は高く評価され、イタリアで一番権威のあるオペラの評価であるアッビアーティ賞を受賞しています。アライモさんは、この11月にはヴェネツィア・フェニーチェ歌劇場のシーズン開幕公演でも《ファルスタッフ》に主演しており(指揮は先頃、東京フィルの《ファルスタッフ》が素晴らしかったチョン・ミョンフン氏)、劇場は連日満員になっているそうです。少し前に、新国立劇場の会員情報誌ジ・アトレに掲載するインタビューのためにアライモさんに電話インタビューしましたので、講座ではその時のお話も少し紹介しています。
平凡な人はヴェルディではなく、ファルスタッフを見習え!
ヴェルディが《ファルスタッフ》を書いたのは彼が79歳だった時。終生進化し続けた巨匠でした。でもヴェルディのような才能と意志の力に恵まれていない私のような凡人は、彼よりもファルスタッフから学ぶことの方が多いような気がします。
ファルスタッフの〈懲りない力〉〈楽しいことに貪欲な力〉を学んで、オペラの終わり近くで彼が言うこの台詞に「そうだ、そうだ〜❗️」と共感しながら、これからのシニア・ライフを楽しく過ごしていきたいです。
「平凡な奴らは、俺をからかって得意になっている。だが、そんな自慢をしている奴らは、俺なしでは何の面白みも持ち合わせていないんだ。つまり、俺が皆をお利口さんにしているのさ」(井内訳)
次回講座は12月15日(木)の《ドン・ジョヴァンニ》!
次のOTTAVA Accademia の「オペラでイタリア語!」講座は12月15日(木)19時よりライブ配信されます。お題は《ドン・ジョヴァンニ》です! #6 〈《ドン・ジョヴァンニ》で数字に強くなり、記録を伸ばす方法を学ぶ〉。イタリア語講座もだんだん進んできましたので、自己紹介、恋愛、老後の過ごし方、などだけでなく、生きていくには必須の「数字」と向き合ってみましょう。もちろん《ドン・ジョヴァンニ》ならではの、異性を誘惑するテクニックのお話も出てくるかも知れません(汗)。どうぞ、お楽しみに〜!
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