就労ビザはサポートできないからそのつもりで、と社長に言われた
ポータルサイトでの仕事が始まって2か月くらいたってから、社長に呼ばれた。
就労ビザ(H1-Bビザ)を申請するのが大変でエンジニア以外のサポートはしないこと、ゆえに私のビザサポートはできない。
私の仕事ぶりについて、ポータルのマーケは向いてないと思う。
この2点を単刀直入に告げられた。
とてもショックだった。この会社からビザサポートしてもらうつもりでいたのに、サポートの道が閉ざされてしまった。ということはアメリカに残れないということ。
そしてポータルのマーケのこと。確かに私は消費者向けにあれこれプロモーションや企画を打つのは苦手。マーケティングの専攻だけれど、自分が最も得意とするのは戦略を組むことと分析で、手法(Marketing Tactics)を生み出していくことではない。
これを短期間で見抜く社長はすごい人だなと思った。と同時に見抜かれたのは悔しかった。これまで順調に進んでいたかのように見えたアメリカ生活が一気に底に落ちたような気持ちになった。このままアメリカに残るためにはボーイフレンドと結婚するしかないのかもしれないと思うようにさえなった。
でも捨てる神あれば拾う神があるのだ。会社に出入りしている人の奥さんがアメリカのITリサーチ会社に勤めていて人を探しているという情報が入った。確か社長が知らせてくれたのだったと思う。早速奥さんを紹介してもらい電話で話した。
大体の仕事の概要を教えてもらって面接に向かった。会社はこれまたシリコンバレーのど真ん中、サンノゼにあった。2階建てのビル2つがこの会社のキャンパスだった。本社は東海岸にあり、アメリカ資本のテクノロジー専門のリサーチ会社で業界ではとてもよく名前の知られた大手だった。
面接は鉄腕アトムに出てくる御茶ノ水博士みたいな丸っこいかわいいイギリス人のおじさんのオフィスで行われた。仕事の概要を説明してくれたが質問はほとんどされなかったことを覚えている。おじさんが退席すると次に30代くらいの背の高い男の人が入ってきた。またもやイギリス人!博士と違ってものすごくわかりにくいイギリスなまりで何を言われているのか理解するのに時間がかかった。
今となってはどんなことを話したかよく覚えていないのだが、ものすごくカジュアルな面接だった。と同時にこんな大手の会社が雇ってくれるわけないよなーと思いつつ帰路についた。プラクティカルトレーニングがスタートして3か月くらいたっていたと思う。
それから2か月ほどこの会社からの音沙汰は全くなかった。ポータルサイトで働きながら私の就職活動はひたすら続いていった。