これからの働き方を考える。
夏休みの1日を読書(&お昼寝)Dayにしました。
読んだのはこちら。
書店で並んで陳列されていたので、なんとなく2冊購入してきたのですが、これが良かった(本屋さんグッジョブ)。2冊に共通するのは「目標を高く設定しない」こと。売上をあげようと思わない、一定以上の努力をしようと思わないことが「幸せ」につながるという考え方です。
例えるなら、人生は山登りではなくハイキング。マラソンではなく散歩。そんなイメージでしょうか。必死ではないから、周りを見る余裕がある。たくさんのことに気づくことができる。気づきを活かして、自分の選択・行動をアップデートできる。
『売上を、減らそう』では、100食に限定することで、労働時間短縮、フードロス削減という、人や環境に優しい経営が実現されています。それを支えるのはこだわりのステーキ丼。原価率50%という数字がこだわりを端的に表しています。人件費率は驚異の30%。にも関わらず利益が出せる理由は、広告費ゼロという決断。商品力に自信があるからこそ取れる戦略だと思います。朱美さんには広報のご経験があるそうです。コネクティング・ドット……!(語彙力)
一つのキャリアにこだわる必要は全くなくて、「異なる業界・異なる仕事を経験することが武器になる」世の中にすでになっていることを実感させるエピソードです。
「佰食屋」というネーミングもキャッチーで分かりやすく、「100食限定」というコンセプトを端的に表しています。一度聞いたら忘れません。それがそのまま、すべてのメリットにつながる仕組みになっていて、見事という他ありません。
ところで、佰食屋から連想したのがこちら。
『ナリワイをつくる』は本当に素晴らしい本なので、ぜひお読みいただきたいです。今ならなんとKindle Unlimitedで読めます。
これからの仕事は、働くことと生活の充実が一致し、心身ともに健康になる仕事でなければならない。
『ナリワイをつくる』より
生活を大切にする働き方、というのが佰食屋と共通していて、そういう風に生きている人たちがいるのは希望があるなぁと思います。
ただ、「売上を減らす」「生活を大切にする」というのは、決して怠けるわけでも、成長することを諦めて質素に暮らすことでもないんですよね。地道な修行はやっぱり必要で、その上で、人生におけるパワーの出力調整を見直して、今まで「会社」「仕事」に全振りしてきたのを見直してみませんか、という問題提起であると思います。
会社に全振りって、ある意味ラクですよね。頑張っても頑張らなくても毎月一定のお給料が「自動的に」振り込まれる。そして、悪いことの責任を会社のせいにできる。例えば体を壊して入院しても、家族との仲がうまくいかなくても「仕事が忙しかったせい」にできる。人に対してじゃなくて、自分への言い訳が立つ。だからラク。(もちろんラクをした代償はどこかできっちり払う必要があるのですが。熟年離婚なんてその最たるものだと思います)
パッケージツアーみたいなものでしょうか。安心、安全、ハズレの無さがある程度、保証されている。つまらなかったら、ツアーを主催した会社のせい。お客様気分で「もてなしてもらう」旅行。その代わり、他に行きたいところがあっても制限され、自由はあまりない。
ちきりんさんの言う「ゆるく」は、個人旅行のゆるさだと思います。何時に起きても良いし、その日どこに行くも行かないも自由。その代わり、食事や移動や宿泊のことは全部自分で決めて、手配もする。そういう「ゆるさ」。
個人旅行には訓練が必要です。初めからうまくはいきません。行きたい場所への行き方、営業時間、かかるお金、支払いは現金が必要か、カードで済むのか。食事はいつ、どこで摂るのか。体力的に無理はないか。安全か。複合的に自分の「どうしたい」を考えて、現実的に実現できるかを検討して、行動する。
会社員でも、個人旅行をするみたいに生きることはできると思うので、そういう生き方を探ってみたいなぁと思います。
大事なのは、見かけではなく本質。
既存の仕組みの中で「売上を減らそう!」なんて言っても、サボってるだけですからね。佰食屋の「売上」にあたるものが何なのか、自分の頭で考えたいと思います。