【🇫🇮ニュースメモ】公的医療費をどう減らしていくべきか
昨日のフィンランド公共放送yleのニュース記事より。
フィンランドも日本と同様に国民皆保険制度を維持している。しかし、フィンランドでも少子高齢化が進んでおり、公的医療サービスのあり方を変更する時期に差し掛かっている。
何かを削減しなければならないが、何を削減するべきか?
この記事は、5つのシチュエーションに対し、読者が「賛成」「反対」「わからない」を選択する読者参加型スタイルをとっている。
昨日の記事に対し約1000件のコメントがついており、人々の興味の高さがうかがえる。
提示されたストーリーを要約してみる。
1. 医師による孤独の治療
孤独感と不安感は治療を求める重要な理由の 1 つである。しかし、医師の診察によって孤独を治療することは費用がかかるだけでなく、患者の助けにはなりません。最良の支援は、ピアサポート、ディスカッション支援、または実践的なスキルを提供する草の根の社会福祉団体から見つかる可能性があります。
問い:患者が孤独を感じたら医師の診察を受ける必要がありますか?
はい
8.3 %
いいえ
80.4 %
わからない
11.2 %
総投票数: 67347
2.超高価な薬
不治の病の治療には社会的にどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
例えばある種の抗がん剤治療は必ずしも病気を治すわけではありませんが、寿命を延ばし、痛みを軽減することができます。
問い:病気は治らないが延命効果がある場合、患者は公的医療で何十万ユーロもかかる抗がん剤を受けなければならないのでしょうか?
はい
36.9 %
いいえ
36.7 %
わからない
26.4 %
総投票数: 67797
4. 個人またはグループ療法
精神疾患に対する受診の敷居が低くなり、セラピストの待ち時間が長くなっている。
問い:精神的健康上の問題に苦しんでいる患者は、個人療法ではなくグループ療法に紹介されるべきでしょうか?
はい
43.8 %
いいえ
30.1 %
わからない
26.1 %
総投票数: 62704
5. がん検診のスクリーニング
病気が早期に発見され、治療されるほど、患者の苦しみや社会の衰退は少なくなる。
無料のがん検診は、病気の早期発見を目的とするが、あまりにも頻回であれば過剰診断につながる。
問い:病気になる遺伝的リスクがある場合にのみ、無料のがん検診を受けるべきでしょうか?
はい
24.2 %
いいえ
64.5 %
わからない
11.3 %
総投票数: 61769
感想
日本人としてもフィンランドに住む外国人としても、医療従事者としても気になる記事であった。
フィンランドは格差を無くそうという気運が強いことをこの一年で感じた。フィンランドの社会的な安定を支えているものの一つに公的医療サービスがあり、ここを変えるためには十分な議論と国民の理解が必要だろう。
公衆衛生系の研究者としては、遺伝子検査結果に基づいた健康診断の最適化は、医療費の削減と資源の選択と集中のために、今後必要となってくると感じる。アンケートでは「いいえ」が65%と否定的な意見が多いため、研究者は結果のアウトリーチを丁寧に行う必要があるだろう。フィンランドは研究成果に基づいた政策の転換を柔軟に行うイメージがある。
この話題は今後も注目したい。