PERFECT DAYSを観たけれど
2ヶ月ほど前に観た『PERFECT DAYS』について。
カンヌ受賞など、話題なのは知っていました。しかし、どういう経緯でつくられた映画なのか、などはまったくわからないまま観ました。
観終わってエンドロールを眺めながら思っていたのは 「まあいい映画なんだろうなあ…足るを知る、とか、置かれた場所で咲きなさいとか、丁寧な暮らしとか、身の丈にあった、とかそういう言葉を想起させる…」などでした。ただ「正直面白くはないし、なんというか…トイレ全部きれいすぎるし、主人公喋れるのに相手によって喋らないのはどうなのか。質素に暮らしているようだけど居酒屋代とかで意外とお金かかりそう。全体的におしゃれ感が不自然…」という印象もありました。「でもカンヌだし。面白くなくても良作」などと頭の中でまとめていました。
しかし、画面にあるかたのお名前が現れたとき、ん?と少しの違和感。
有名企業のトップ。足るを知る、な映画。このふたつのどうにもならない合わなさに、それまで自分の気持ちだと思っていた、はじめに書いた感想は、自分で思い込もうとしていたことなんだなと知らされました。
それから作品が作られた背景を検索し、なんだそうなのか…と。制作のバックグラウンドに左右されず作品自体の価値を感じたいとは思いつつ、実はなんの感銘も受けていなかった自分をわかり、世間に流されて頭の中でいい感想を作っていた自分をかえりみたことでした。
この映画を誰かがいいと感じることを否定しません。自分ひとりの中で自分の感想を偽造した変な鑑賞後でした。