見知らぬ出会い
こんばんは、kazです。
風呂上りの一人暮らしの部屋は暑く感じる。夕暮れの西日が部屋をゆっくりと時間をかけて温めている。時間差の温かさとシャワーの温かさが僕の身体に熱を帯びさせる。
僕は、纏わり付く暑さを取り払うために外へ出た。馴染みの公園へ、最寄りのコンビニに必ず買うアイスとなんとなく野菜ジュースを買って。アイスを食べながら、夜風に当たると夜風は心地よく熱を奪っていってくれる。しばらく、ベンチに座りながら熱が去っていく様子を感じていた。
すると、唐突に座ってもいいですか?と聞こえた。そこには、寝巻きを着た1人の老婆が低姿勢でこちらを見ていた。僕は、あっ、はい、どうぞと答えた。
互いに人見知りをしない性格なのだろう、小一時間ほど公園の一角のベンチで他愛もない会話を交わした。
話を聞くと、面白い。基本は夜風がいい塩梅やなと所帯は持ってるんと何処から来たんと雨が降らへんの4つのローテーションが老婆の会話の基本系なのだろう。
さっきもそれ聞きましたよとは言わない。同じ質問でもそうですねと笑顔で返す。そして、こちらから会話の種を少しずつ撒く。
その中で、老婆の元気の秘訣がわかった。80過ぎのご老体にも関わらず、今も自転車を軽快に乗りこなしている理由。
老婆は、こうやって公園に来てはいろいろな人と会話をしているそうだ。特に若い人たちと。若い人からエネルギーを貰うことが元気の秘訣なのだろう。
こういったささやかな出会いがあるから、普段の煩わしい風呂上りの暑さも良いものだと気付かされる。
老婆の帰り際、正直買っても買わなくても良かった野菜ジュースを渡した。素敵な時間を与えてくれたことと健康を願って、偶然が生んだお礼だ。老婆はすごく喜んでいた。
きっと、野菜ジュースをなんとなく買った理由はこれだったんだろう。老婆は言っていた、人生は運命で出来ていると。この出会いもまた何かの運命に繋がっているのだろう。この運命が繋がった時、またこの続きを書いてみよう。