私と強迫性障害④ーコロナと共に忍び寄る「病気」
2020年4月ごろ、私は晴れて大学生になった。しかしコロナの影響でもちろん入学式はなく、大学の授業も5月ごろにオンデマンドやオンラインで始まった。
その頃から世間でも感染予防に手洗いの重要性が訴えられ、ニュースなどでも正しい手洗いの仕方などが伝えられるようになった。
それを受けて、すでに強迫性障害の病気としての側面が出始めていた私は、コロナになりたくない、家族になって欲しくないとう思いから手洗いの時間がどんどん伸びて行き、こだわりが増えはじえた。
いつしかそれはコロナへの恐怖から手洗いのルーティンをこなせないことへの恐怖に変わった。
何度時間をかけて洗っても、泡が手についていても洗ったという事実が自分の中でうまく認識できない感じだった。
その「洗うこと」に対する自分の中のこだわりは次第にお風呂の時間にも及び、時間は長くなり精神的苦痛も大きくなっていった。
このように洗浄強迫がコロナの時期とともに出てきて、自分の中でいよいよ病気かもしれないと思い始めた頃、私は初めて自分で恐る恐るネットで調べてみた。
そこで初めて強迫性障害という病気を知った。しかも症状がそっくりそのまま自分に当てはまった。
これだ!!と思った私は、ある時、勇気を振りしぼって家族に打ち明けた。
しかし病院に行くべきだとか治すべきだとか、その治し方についても知識を持っていなかった私は、自分でもことの重大さがわからず、もちろん家族にもあまり伝わらず打ち明けただけで終わり、特に何も進展しなかった。
またその頃両親はコロナ禍で仕事が大変だったり、私の祖父母のことで大変な時期だったため、重要なこととして受け取ってもらえなかった。
それは仕方のないことだが、特に母は、今でもその時病院に行くのを勧めなかったことを後悔しているらしい。
強迫性障害は性格との境目が非常に曖昧で病気と認識するのが難しい。だから少し違和感を感じても病院に行くのが遅れがちだ。
しかし、一つ言えるのは病院には早めに言ったほうがいい。また誰かに打ち明けられるのなら、早めに治療に協力してくれる人を作るべきだ。
私の場合病院に行ったのも結局この出来事から約1年後だったし、家族にもあまり頼らず、迷惑をかけまいと自分の中に強迫を閉じ込めた。これが良くなかった。
コロナで家を出る機会が減っていたので確認強迫は悪化していなかったけれど、洗浄強迫は時間の経過とともにどんどん悪化していき、自分の中でなんとか完結させて必死に隠して生きていた結果、その後精神面が崩れていった。