警察官なのに、とか教師のくせに、とか。
親戚の集まりで昔ばなしに花が咲く。
楽しいひととき。
それをテレビがぶった斬った。
不祥事のニュースが流れ出したのだ。
みんなが画面に釘付けになる。
やがて、あちこちから声が聞こえる。
「警察官なのにこんな事故を起こすなんてねぇ」
「教師がこんなことするなんて世も末だ」
「あの政治家のやってることは普通じゃない」
そんな声たちを右から左へ受け流し、
もし耳にシャッターがついていたら今この瞬間に閉めたいな
と、ボンヤリ外を眺める。
一度こうなってしまったら、しばらくはずっとこうだ。
せっかく楽しい時間だったのに。
こう思っているのはきっと私だけかもしれない。
ただの雑談、そう思えば済む話だ。
でも私にはそれができない。
別に不祥事を肯定するわけでも否定するわけでもない。
だけど
警察官である前に人間
教師である前に人間
政治家である前に人間
なんじゃないかな。
完璧な人間なんていない。
人間は、不完全であるからこそ人間として存在できる。
警察官になったからといって
教師になったからといって
政治家になったからといって
間違いを犯さなくなるわけでは無い。
それと同様で
「男のくせに」とか「女なのに」とかも
両耳のシャッターを降ろしたくなる。
その場で反論はしない。
ただ黙って、シャッターを降ろすことにのみ集中する。
男である前に人間
女である前に人間
警察官である前に人間
教師である前に人間
政治家である前に人間
みんな、人間同士仲良くできたらいいのにな。
でも、これはきっと甘っちょろい戯れ言なのだ。
私はただ、みんなと楽しい時間を過ごしたいだけ。
楽しい時間に、
愚痴や不満や否定的な言葉は必要ない。
やっぱり一人でいる時が一番幸せだ。
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