上野千鶴子のサバイバル語録 上野千鶴子

何冊か上野先生の本を読んでいて、どのようにまとめられているのか知らず購入した本。率直な感想としては、きちんと1冊ずつ購入したほうがいいということ。上野先生の言葉は強いけれど、理由があって強い。その良さが所々切り取っただけだと汲み切れない。自分がこれまでに読んだ本の語録に関してはしっくりくる。背景があって、感情を抱いて、この発言をしたというプロセスと結果がわかりやすい。

しかし、この本になってしまうとプロセスが端折られすぎてしまっており、先生はなにからこれを感じて最終的にこの発言をしたのか?というのがわかりにくい。読者を置いて行かないような場所を選んで本にする努力をしていることは十分に感じるけれども、一冊ずつ本を読んでいる身からするとすごく物足りなさを感じる。

上野先生の本のいいところはここまで言ってしまうのかという赤裸々に話してくれる、具体性のあるところだと感じている。女性だから、男性に対して遠慮してしまう、お淑やかになってしまうというのではなく、男女関係なく思っていることははっきり言っていい。でもその発言の中に知性を感じられるところにある。そして言い過ぎなのか?と思うような部分に対してはきちんとフォローがなされている。最近職場の人に言われた『知性は多様性を認める』それを文章の中にも表現されていると思う。
私はこう。でもこういう人もいる。そういう中に飲み込まれるのではなく、あなたはあなたらしくいていいのよ。好きに生きたらいいじゃない。というメッセージを与えてくれる。私は女として生まれてきて不自由に感じたことはそこまでないけれども、まだまだ日本全体を見ると、男女平等、という世界には給与面からしてもなっていないということを学んだ。こうした現実をどうしていくのか。私たちは上野先生達のように女性として強く生きていくことを見せてくれた人たちの跡を生きていくわけだけれども、どういう日本にしていくのか、どういう女性として生きていくのかを考えさせてくれる。



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