梅雨と山笠と

生まれも育ちも博多っ子
そんな私が、この時期になると
必ず脳裏に浮かぶ光景がある

オフィスビルに挟まれた
コンクリートの街並みと
グレイッシュな梅雨の空

どんよりジメジメのなか
仕事を早く切り上げた
山笠の男衆が
長法被姿に
巾着袋をゆらし
下駄を鳴らしながら
足早に歩いて行く

その道端には
紫陽花がやけに鮮やかに咲いていて
そのコントラストが
何ともいい感じの博多の光景

グレイッシュな空
長法被の男衆
紫陽花
私の中で博多の梅雨とは
この3点セットです

日本には繊細な色が多いなと思う
その色をJIS記号ではなく
日本色名で表されているものを
見るのが好き

話を山笠に戻す

追い山が近づくにつれ
長法被から
水法被姿へ変わる
舁き縄を締め込みの腰に下げ
下駄から地下足袋に変わり
男衆の目つきも変わる
この頃になると、男衆の肩には
大きなコブができている

追い山までジワジワと感じる緊張感

そうすると、もうすぐそこに
博多の夏が始まるのです