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当日朝、弾丸予約。出産以来12年ぶりの一人旅に選んだ「箱根本箱」が大正解だった理由
5月後半は、まるでコーヒーカップでくるくる回りながらジェットコースターに乗ったかのような日々でした。
一難去って、また一難。
いつもなら家族が安心して笑っている姿にこちらもホッコリするはずなのに、「こっちの気も知らずに、何笑っちゃってんの?」と思ってしまう自分がいて……それがもう、嫌なのに、止められない。
圧倒的に、精神的に追い詰められていました。
そんな私の様子を見かね、土曜の朝、夫からの提案が。
今から、一人で出かけてきたら?
一泊してきてもいいよ。
―― 一泊。
確かに、今からならいける気がする……!
ということで……その場でお宿をポチッ。
選んだのはブックホテル「箱根本箱」です。
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実はこのホテル、何年も手帳に「行きたい場所」としてリストアップしていた場所。ところが……中学生未満はNG(※)。小学生の2人姉妹を抱える私にとっては、まだまだ先の夢でした。
(※追記:どうやら、規定を守れれば年齢問わず宿泊可能なようです!)
それが、突然、叶うだと……!?
そして、結果的にこの選択が大正解!
「ノープラン×大人の一人旅」の最適解だったのです。
この記事ではその理由とともに、「箱根本箱」の魅力についてご紹介したいと思います!
■「ノープラン×大人の一人旅」の最適解とは?
直前に思い立ち、突然出かける弾丸旅。
日常から突然のワクワクへ!という振れ幅の大きさがたまらない。とはいえ、ノープランな分、満足感については一か八か感も否めないもの。
にもかかわらず、今回の旅が結果的に正解だったと思えたのは、以下の2つの要素を満たせていたからだと考察(!?)しています。
● ノープランな時は「ホテルそのものを楽しみにできる」宿を選ぶべし
● 一人なら「子どもがいたら絶対できないこと」を優先すべし
- 子連れNG宿
- 子どもと一緒だと選びにくい食事
- 一人で没頭したいアクティビティ
では、「箱根本箱」がこれらをどう満たしてくれたのか!?
レポートします!
■「本を読むだけの旅」という贅沢
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「箱根本箱」はその名の通り、本だらけのホテル。その数、1万2000冊!
先にお話した通り、「基本的に中学生未満は宿泊NG(※)」と謳われており、子なし旅にうってつけ!
(※追記:どうやら、規定を守れれば年齢問わず宿泊可能なようです!)
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正直を言います。実は一歩ホテルに入った時に、「あれ?思ったよりこじんまりしてる??」と思ってしまいました。宣材写真だと、もっと奥行きのある壮大なスペースに見えたから。
だから、本当に忖度なくいうと、「思ってたんと違う!?」とちょっとシュンとしかけました。でも、それは大きな勘違いでしたよ。
一歩本の海に踏み入れると……外から見るのと全然違う!本棚の前では本当に自分がちっぽけで、全てを見切れないという当たり前の現実をひしひしと実感。これから出会えるワクワクがこんなにあるなんて!!!と思わされました。
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壁に、廊下に、レストランに、客室に。ありとあらゆる場所に本が置かれています。
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自室に持ち込むもよし、気になる本があったら近くのベンチやチェアで読んでも◎
気に入った本は、現品を買い取ることもできます。つまり、本屋さんの中に泊まる、ってこと!
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本棚の隙間を縫って、こんなスペースも。こういう秘密基地のような場所が館内のあらゆる場所に。
大まかなジャンル分けはされていますが、本との偶然の出会いを楽しんでほしいから、と、検索機やポップなどもあえて設置していないとのこと。
一期一会を楽しむ、冒険のひととき。
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そして、客室には著名人や作家さんによる選書棚が。私の客室は大宮エリーさんの選書でした。
そしてこの「客室内の本」は、ここに泊まった人だけが出会える本でもある、というあたり……もう、運命を感じずにはいられない!
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フリーWi-fiは飛びつつも、客室にTVはなし(そういえば時計もなかったかも!?)。交通量も少なく森の中なので、ベランダに出れば聴こえるのは鳥のさえずりだけ。子どももいないせいか、人の声もない。
こんなに自然音だけの環境、いつぶり!?もう読書云々の以前に心が休まる音が聞こえてくるようでした。
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備え付けの便せんでお手紙を書くのもいい時間。
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早朝は手帳がはかどりました!
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チェックイン直前まで、温泉に入りながら読書を楽しめるのも、このホテルならでは。文字と思考に浸れる贅沢……!
■満足度を爆上げしてくれたレストラン
そして。いい意味で「思ってたんと違う!!!」というほどに期待値の上を行ってくれたのが、レストランでした。
驚くことに、ブック「ホテル」なのに、館内着でパブリックスペースで過ごしてOKなのもここの特長。もちろん、レストランもお風呂上がり×スッピン×館内着×サンダルでいいんです!リラックス感がものすごい!
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お味はもちろんのこと、レストランのシェフ、スーシェフはじめ、スタッフのみなさんのホスピタリティが。そして、レストランをメディア化して演出するかのようなプレゼンテーションが素晴らしかったのです!
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「おひとりさま」であることを気にするどころか、誇れるほどの年齢?にもなった私ですが、レストランの居心地が悪かったりすると悲しいなぁ、と思っていました(しかも、私はお酒も飲めない体質だし……)。
が、そんな心配は無用でした!
コの字型のカウンターテーブルに囲まれた中央には、スタジオのように設えられた作業台とキッチンが。そしてインカムを付けたシェフ&スーシェフ。
ライターの職業病、「あのインカム、どうしてつけてるのか後で聞いてみよう……」と思っていたら、すぐにその謎が解けました。
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メニュー表は素材が隠されて、「東海道」に絡めたお料理で組まれたコース。その解説を、一品ごとに、インカム越しに聞かせてくれるんです!
これがもう、すごくよかった!!!
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歴史や土地柄、そして季節と絡めて丁寧に作り上げられたお皿には、奥深いストーリーがあって、「ここでいただく意味」を感じられるお食事。
こういうレストランで「ライブ感を味わいながら」なんて文言はもうお馴染み。けれど、ここは想像以上。
料理人の躍動感や料理の温度や音、香りだけではなく、コール&レスポンス的な生き生きした食事を楽しむことができました。
私の席がキッチンに一番近かったこともあり、丁寧なお仕事っぷりも垣間見えて。こんなに心から「楽しい~!!」と思いながらいただくコースは生まれて初めてでした!
ちなみに、今回のディナーは19:45開始でしたが、終了したのはなんと21:50!一人で飽きずに、むしろあっという間の2時間超……!
(一つ計算外だったのが、直後に自分が寝ることを忘れて、水分を取りすぎてしまったこと(笑)。夜中にトイレに3回起きました……。上質な睡眠にこだわりたい方はご注意を!)
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そして、翌朝の朝食は「将軍飯御膳」と銘打った和食。
子どもとだと絶対食べられない朝食膳……。
素材の味と食感がじんわり体に染み入る朝のお食事……整いました!!!
■「世界は広い!何とかなる!」
今回の旅でよかったのは、「誰も私を知らない場所で、何者でもない自分」でいられたこと(こんなに「素」に戻ったのは、いつ以来だろう)!
さらに、生活圏を飛び出して、遠くに行ったのは、思いの外気持ちの変化をもたらしてくれました。それは、悩みの対象との物理的距離を取れた、というだけではなくて。
たとえば、本を読んで電車に揺られるうちに、ふと目線の先に見える海。
(海なし県に暮らしているから、海の非日常感がものすごい!)
山の斜面で営まれている暮らし。
ホテルの中でプライドを持って働いている人の姿。
たくさんのまだ見ぬ本たち。
そういうものに触れたことで、「あぁ、大丈夫」と思えたのです。
世界は広い。
私が目の前のことでうんうんうなっているその最中に、全く別の時間の流れがあって、誰かが全く違う暮らしを営んでいる。こっち側とそちら側は、どちらも私の世界であり、どうにでもなる、って。
旅は一時的な現実逃避ではなくて、単なる充電でもなくて、違う世界の存在に気づかせてくれるものなんだなぁ、って。すごくいい時間でした。
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最後に。
今回たくさんの本を手にしてつまみ食いしましたが、その中でも今の自分によかった本たちはこちら。こちらも、ゆくゆくご紹介できたら……!
もう帰宅したのに、もっと「箱根本箱」を知りたくて、
開業までの物語も読み漁ってしまいました。
読んでから足を運んだ、もっと楽しめるはず!
こちらからPDFダウンロードできます!
※2024.06.23追記
箱根本箱で出会った素敵な本のお話、追加しました!
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