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そもそもコンピューター好きではない私が、IT業界にいるのはもう限界。そろそろ卒業して、自分が情熱を持てる業界に移らないと、年齢的にも手遅れになる と焦り始めました。

結婚願望はなかったので、婚期を逃す焦りはなかったのですが(笑)、キャリアチェンジ適齢期を逃すことが心配になりはじめました。

当時、海外留学してMBAを取ることが流行っていました。海外のMBAを取れば、再就職に有利だと思い、チャレンジしてみようと思いました。高額なMBA専門の予備校に通い、英語の勉強もがんばりましたが、結局はうまくいきませんでした。

うまくいかなかった理由は簡単です。動機が不純だったのです。

今の仕事を続けるのは本当はイヤだけど、かといって自分がやりたいことはわからない。そんな自分に、心の中ではダメ出しをしているのに、それを認めるのも怖い。そんな現実から目をそらすために、とりあえず世間から「スゴイ!」と思われそうなことをしたかっただけだったのです。今から思えば、完全な現実逃避と他人軸中心のマインドセットでした。

焦りはつのるものの、IBMという会社が、あまりにも居心地がよくて、なかなか転職の決心がつきませんでした。仕事中心の人生を送っていた私は、ネームバリューのある会社が、自分のアイデンティティーになってしまっていて、それを失うことが恐かったのです。それに加えて、給料も高くて福利厚生にも恵まれた環境を手放してまで、どうしてもやりたいこともありませんでした。

こんな状態で、ぐずぐずと2年ほど決断できないでいるうちに、原因不明の体調不良が始まりました。毎日のように左の後頭部が痛み、だんだんひどくなりました。全身の倦怠感がひどくて、朝起きられない日もありました。病院で検査しても異常なし。いつも頭にモヤがかかったような状態で、何にも集中できず、何も楽しめませんでした。

当時の私は、自分の負の感情を誰かにオープンに話すのが苦手でした。家族や友人にも相談できず、とても孤独でした。まるで、高い壁に囲まれた要塞の中に住んでいるような気分でした。

こんな状態が数ヶ月続きました。倦怠感がひどくなってきて、このままではまずいと思い、思い切って心療内科を受診しました。ズタボロの自分をはじめて人にさらけ出したのです。

ストレスによる自律神経失調と診断されました。医師は、「このままの状態を続けると、ほぼまちがいなく、鬱になりますよ。会社を辞めれば治ります。」と、いとも簡単に言いました。私が、「そう簡単にやめるなんて、無理です。。。」と反射的に言うと、「なぜ無理なのですか?」ときかれました。

「なぜ無理なんだろう?」 
Why not?

私は会社を1ヶ月休職して、自分と向き合うことにしました。


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