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圧巻な芸術:桃山時代にタイムスリップ 『桃山-天下人の100年』

久しぶりに、美術鑑賞へ行ってきました。

本当は、国立西洋美術館の『ロンドン・ナショナル・ギャラリー』展に行こうと思っていたのですが、事前予約制のチケットはすでに完売。もうすぐ終わるのでみんな駆け込みなんですね。。止むを得ず断念して、トーハクの『桃山ー天下人の100年』を観てきました。そして、これが驚くほど良かった!

まずは、展示数が圧巻。まだあるの???ってぐらいの展示物。それが、学生時代に覚えた画家の名前やら武将の名前やらが勢揃いで、当時必死で覚えた単語を引っ張り出しながら、頭をフル回転で観覧。コロナ禍なので1時間半の観覧規制が引かれていましたが、結局2時間近く滞在していました。

ぼんやりと『安土桃山時代』は芸術的に花開き華やかな時代だったと記憶していたが、室町幕府滅亡から江戸時代までの間の戦国時代でもあり、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などが大活躍していた時代。彼らのお気に入りであった画家、『洛中洛外図屏風』の作者:狩野永徳をはじめとする狩野派の作品が多く、この時代の芸術は狩野派に圧倒的な勢力があったことを思い知らされる。

戦国武将たちのお気に入りだっただけに、『権力』に対する表現が強い。それは、力強いタッチだったり、屏風全体が”金”に塗られていることもそうなのかもしれない。時代を経て、徳川の江戸時代に入る頃には、政治権力も落ち着き、主役が民衆や、歌舞伎などの芸能、自然、花などに対象が変わる。同じ狩野派でも穏やかな屏風が描かれていた。

途中、鉄砲や、キリスト教の伝来をもたらしたヨーロッパ文化や、朝鮮からの陶磁器なども含めた海外文化が混ざり合い、金屏風に描かれた伝来人たちが神々しく異彩を放つ。絵画から想像できる時代背景が面白い。(ということに学生時代に気づきたかった・・・)

と、狩野派一族が一大勢力として活躍していた中でもやはり対抗勢力もいたわけで、『長谷川等伯』がその代表として出てきている。

なんというか、この構図を知ってしまったからなのだろうか、画風が好きだからなのか、もはやわからないが、『長谷川等伯』イチオシになっている私。

楓図壁貼付(長谷川等伯)

秀吉が、3歳で夭折した長男鶴松の菩提を弔うために建立した祥雲寺(しょううんじ)(現在の智積院(ちしゃくいん))の襖絵。狩野永徳の大画様式にもとづきながら叙情性が加えられています。


しばらく狩野派の作品を観ていたら突如現れたこちらの作品に心を奪われた。そして、この人は、水墨画も描き、なんというか侘び寂び、静けさ、そんな雰囲気を全体的に感じられる。

何の前情報も入れずに鑑賞したので、後々色々と調べることで理解が深まったこの企画展。コロナであることで、時間制限、作品とのソーシャルディスタンスなどの規制が何よりも悔しい。屏風のあまりの精緻な表現に食い入るように観ている人たちが、規制線の内側に知らず知らずに入っているのを横目で見ながら、共感しつつ、束の間のタイムスリップを楽しんだ。これはもう一度、忘れないうちにゆっくり観たい。

ではまた。

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