郷愁にかられる現代アート、ピーター•ドイグ展
ここのところ、日本のものづくりや文化に触れる機会を多く持っていたので、少し海外の風を浴びてみたいと行ってきました、『ピーター・ドイグ展』。現代アートだけれども、郷愁や懐かしさ、さまざまな感情を揺さぶられるアートでとても良かった。専門家でもなんでもない私なので、アートを見ても訳が分からなくて、、、なんてことはよくある中で、昔と今を行き来しているような作風に何か親近感を感じられて入り込めたからかもしれない。そして、色使いもとても好みだった。
この展示会に行こうと決めたきっかけは、この一枚の絵。展示会のメイン作品として宣伝で使われていたものだが、幅2メートル以上あるのかな、とても大きなキャンバスに描かれた青が印象的な絵画。中に吸い込まれそうな吸引力の強い絵画。傾向として3分割に捉えた構図が多く、この作品もまさにそれ。分割されているごとに異なる技法を使いつつも全体としてきちんとまとまりのある一枚の絵画に仕上がっていることが特徴らしい(というのも、私には技法が分からず、全て一体感のある絵画に見えている・・・)。
面白いのは、昔のアーティストたちが使っていた技法を多く採用したり、目の前の景色、風景に全く異なる要素(新聞に掲載されている写真や、映画、広告、古い絵葉書など)を組み合わせて、現実には存在し得ないアート作品に仕上げている。のにもかかわらず、私たちにはとても親近感のあるいろんな感情を呼び起こすアートになっていること。
そして、『スタジオフィルムクラブ』というコミュニティを主宰していて、その宣伝のために即興で書いているポスターが個性豊か。東京や日本の映画を題材にしたポスターもありました。
Peter Doig ピーター・ドイグ
1959年スコットランド、エジンバラ生まれ。カリブ海の島国トリニダード・トバゴとカナダで育ち、1990年、ロンドンのchelsea collage of art and designで修士号を取得。1994年にターナー賞(主にイギリスで活躍する現代アーティストに贈られる名誉ある賞)にノミネート。以来、世界の有名美術館で個展を開催。同世代、後続世代のアーティストに多大な影響を与え、過去の巨匠になぞられて、しばしば「画家中の画家」と評されている。