カメラマンちゃうねん写真家やねん
この仕事に就いてから、というかフリーとして歩みだしてから
もう14年目になろうとしている。
お恥ずかしいことに、自ら大層にも犬猫写真家を名乗っている。
仕事自体は、末永く、細く長く、ありがたくも、続けさせて頂いているという感じ。
カメラマンではなく写真家を取ったのは大きな意味がある。
でもお客様には普通にカメラマンさんと呼ばれるし
それに抵抗があるわけではない。
お客様にとってはカメラマン=『写真を撮ってくれる人』、なのだからどっちでもいい。
正直今まで、その違いについて深く追求してきたことも無かったし
お客様にあえて説明する機会も無かったし
自分でもふんわりと捉えていた。
なんかそんな感じで十余年過ぎてしまった。
時代は大きく変わった。
十余年というのは、カメラやネット業界が進化を遂げるに有り余るほどの年月だった。
この仕事を始めた時はスマホじゃなくてガラケーだったし
プロといえばデジタル一眼レフカメラかフィルムの一眼レフ、という世界だった。
今やカメラはミラーレス一眼レフが主流になってきているし、そもそもカメラ自体にWi-Fi環境が整っている。
データの共有はCDーRではなくクラウドになってきているし、もはやスマホで済ますこともある。
先日、知り合いの方からお客様を紹介された。
もし条件が合えば、どうかな?という話だったので
SNSでやり取りした後に、お互いの都合がいい時に電話で話した。
『とある華やかな業界でのパーティー撮影で
都会の現場で15時から21時拘束、
撮影したデータをその場で華やかな立場の方たちにAirDropにて拡散
その後、イタリア本社にデータを送る』
というのが条件だった。
そもそも相手の方が「巻き舌R」のお国の人だったので
AirDropが『えぁーrrrrrrドゥrrrrrッッップ』みたいな発音で
何回も何回も『え?もう一回言ってください』と必死にスマホに耳をめり込ませて聞いて、耳の軟骨折れたんちゃうかな思いながら
『すいませんMac持ってません( ノД`)』とお伝えした時の悲しさ。
そうか・・・Mac製品無いと詰む仕事もあるのか。とその時は思ったし
それを理由にお断りさせていただいた。
以前にも美容室からそういうご要望はあったけど、なんかちょっと私のスタイルとは違う趣旨のご要望だった。
なんというか、スマートさを売りにしているカメラマン、と言ったイメージ。その場で華やかな写真をたくさんのモニターに写しだして画像チェックをしながら撮影をするというご要望。
本気の雑誌社の撮影現場をやりたいのかな。という。
私が名乗っているのは『犬猫写真家』で
1日時間をかけてお客様の選んだ現場でゆっくり写真を撮って
それを持ち帰り、じっくり写真を厳選して1枚ずつ現像してからのお渡し、というスタイルを取っている。
カメラマンとして依頼される華やかなご要望と、私のスタイルがいかに剥離しているかお分かりになっただろうか。
電話のお客様には改めてSNSにてメッセージを送った。
『私は普段撮影のあと写真を1枚ずつ作品として仕上げてからお渡ししているので今回のスピーディなご依頼は私では役不足かな・・と思います。』
お客様はまた次回!!と快く受け止めてくださいました。
ここで初めて十余年前の自分にグッジョブ!!と思う。
『犬猫写真家』を名乗ることで、うまくカメラマンとの住み分けができているのかもしれないな、と。
知り合いということで、全く違った趣旨のご依頼を受けることはたまにあるけど、今まで知らないうちに、その摩擦は回避されてきたこともあったのかもしれない。
時代だなぁと思う。
昔はこっぱずかしくて言えなかったけど
今はニーズが多様化しているがゆえに
『カメラマンちゃいまんねん、写真家やねん』と言いやすくなった。
まぁまだこのセリフを言ったことは無いけど。
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