意外とカンタン強火で一気に仕上げる絶品料理 鯛あら煮
ハードルが高そうに感じますが、やってみたら意外に簡単でおいしい!初めての壁さえ乗り越えられたら、ふと作りたくなる定番料理になるかも☆
【作り方】
① 鯛の頭は梨割りにし、適当な大きなに切る。かまの部分はひれ先を切りそろえる。中骨はひれを切り落とし、4〜5つに切る。
② ①と腹骨をボウルに入れて落し蓋をする。熱湯に差し水をして80〜90℃程度にし、落とし蓋の上からたっぷり注ぎ、箸でゆっくりかき混ぜる。あらの表面が白くなったら水に落としてうろこと血の固まりをとり除き、水分をとる。
③ 洗い牛蒡はたわしで洗い、細い方の端は切り離さないで太い方から6つ裂く。水に落としてあく止めする。
④ 土生姜は皮をむいてしぼり生姜にする。
⑤ 鍋に③の牛蒡を丸めるようにして敷き詰め、中央に煮崩れしにくい中骨をおき、その上に頭を並べ、周囲にかまや腹骨を入れる。
⑥ 酒と水を加え、落とし蓋をして強火にかける。鍋の目玉が完全に白くなれば、砂糖と味醂を加え、あくをすくいながら煮る。煮汁が1/3量くらいに煮詰まれば、落とし蓋をとり、濃口醤油を加えて落し蓋を戻して煮る。煮汁が少なくなれば鍋を傾けて煮汁をすくいかけながら煮る。照りがつけば、たまり醤油としぼり生姜を加え、火を止める。
⑦ 器に鯛のあらを盛り、牛蒡を4〜5cm長さに切って盛り付け、煮汁をかけて木の芽を天盛りにする。
*梨割りのやり方は、ここで文字だけでは伝えきれないので、他のサイトを参考にしてくださいね。
【料理のポイント】
「鯛あら煮」のポイントは、落し蓋をして少ない煮汁で強火で一気に仕上げること。心配になって火を弱めたくなりますがそこはぐっと我慢です。短時間で仕上げるのでタイミングを逃してしまわないよう、調味料は事前に図って量っておきましょう。
大切なタイミングは以下の3つ。
☆鯛の目玉が白くなったら調味料を入れる。
冷たい水と酒だけで煮始めてじっくり火を通し、鯛の骨から旨味を引き出します。目玉が完全に白くなったことを確認してから、まずは分子の大きな甘みの砂糖と味醂を入れます。
☆煮汁が1/3量くらいまで煮詰まれば濃口醤油を入れる。
煮汁の量以外に、煮汁にとろみがついたかが見極めポイント。とろみがついてくると鍋の縁泡がねちょっとした飴状の泡に変わるので、そのタイミングで砂糖より分子の小さな塩分を含む醤油を入れます。
とろみがあると照りがつくのですが、ここで我慢できずに早いタイミングで醤油を入れてしまうと、照りがつかず後で煮詰めることになりパサついておいしくなくなります。
☆煮汁が少なくなれば鍋を傾けて煮汁をすくいかけながら煮る。
煮汁も減り、全体的にとろーっとした醤油色になったら火を弱めて鍋を手前に傾けて煮汁を集めて何度も全体にかけます。ほとんど煮汁がなくなるまでかけると全体的につやーっとしてきます。
後はたまり醤油としぼり生姜を加えれば完成です。
強火で一気に仕上げますが、焦げないよう注意です。鍋の縁が焦げて来た場合は固絞りふきんで拭き取ってくださいね。
【中医・薬膳から】
薬膳では牛蒡は立派なお薬「生薬」です。種子を乾燥させた「牛蒡子」のほうが効力が高いとされますが、野菜として食べる根の部分も効果があります。
主な効能は清熱、解毒、補腎、利尿、通便など。体内の毒素を取り除き喉の晴れや痛みを解消するほか、食物繊維も豊富なので便秘解消にもよいとされます。抗酸化作用や老廃物の排出促進により美肌効果も期待できます。
ただし、牛蒡の粗い食物繊維は消化しにくく、胃腸に負担をかけますので、胃腸が弱い人や体が弱っているときは控えましょう。
辛味があるため体を温める効果があるともいわれますが、基本は体を冷やす性質を持つので、冷え性の人などは注意してくださいね。逆に鯛は体を温める効果があるので、鯛と牛蒡をつかったこの「鯛のあら煮」はバランスがとれてよい組み合わせになっています。
【最後に】
鯛のあらを使うのは面倒に感じますが、霜降り(作り方②の工程)をすることで鱗も取れ、意外に扱いやすいです。何と言っても鯛のあらはお手頃!中骨や腹骨なしの頭だけでも十分おいしく仕上がります。鯛を一から捌くとなるとハードルが高いですが、あらだけ買えば楽チンです。
「鯛のあら煮」は短時間で火を通せるところもいいですね。ただし、何度も言いますが濃口醤油を入れるまでは我慢我慢です。とろみがつくまで焦らず粘ってください。もうそろそろかなと思ってからも、しばらくじーっと鍋の縁をチェックしてみると、思っているよりタイミングは後なことがわかります。そこから先は強火でタイミングを見極めながら一気に仕上げるので、勝負感があって面白いです。
「鯛のあら煮」で牛蒡はおまけっぽく見えますが、旨味を含んでとてもおいしいです。鯛あら煮は最も牛蒡をおいしくいただける料理かもしれないと私は思っています。
中国では牛蒡は生薬として知られていて、普通の料理ではあまり使わないようです。中国に住んでいるときに牛蒡が食べたくて市場で探し回ったことがありますが、市場にたくさん入っているお店の中でも牛蒡を扱っていたのは1店舗だけ。それも日本語の包装がしてあったので日本向けに生産している商品のようでした。
そんな生薬の牛蒡を普段の食生活で取り入れられる日本の家庭料理ってすごいと思いませんか。牛蒡の素揚げ、きんぴら牛蒡、たたき牛蒡、炊き込みご飯や煮物など牛蒡を使った料理が日本にはたくさんありますね。
普段の料理にも牛蒡を意識的にちょっと取り入れてみてはどうでしょうか。そして、料理の中に牛蒡が入っていたら「生薬、生薬♪」とぜひありがたく頂いてください♪
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