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「一生ものの道具」の条件

三保原屋本店は静岡の家庭用品専門店。創業は1687年といわれています。

実は、メーカーさんも
「一生ものと言われても、道具だから壊れることもある・・。」
と、頭を悩ますこともある、「一生もの」という言葉。

私も、道具を販売しているお店なのですが「一生もの」という言葉が少し気になりつつあります。

家庭用品という道具

家庭用品は道具です。

予算でいうと5千円~1万円を超えると「安くはない」という感覚になる方も多くいらっしゃると思います。
(家電は5万~10万しても、一生ものと表現されることは少ないですよね。)

そして、道具は、使い方やメンテナンス方法を誤ると壊れてしまうことがあります。(たとえばアイフォンを火にかければ壊れる可能性が劇的に上がると思います。)

一生もの?

定義はありませんが、
永く使える道具を「一生もの」と呼ぶことがあります。

私は頭がカチカチな時があるので「絶対に一生もつ(保障する)」という意味に聞こえてしまうことがあり、便利につかう言葉としては、怖く感じることがあります。

一生ものの条件

もちろん、使用状況がよければ、文字通り一生使えるものもあるかもしれません。それは、モノが良かったことも前提ですが、使い手さんの使い方(メンテナンス含む)が良かったとも言えます。

以下、私がお店で感じる、一生ものの条件です。

①道具が丈夫であること

例えばセイロは、使い方により寿命は大きく変わりますが、そもそも国産のセイロと、外国製のセイロでは道具としての丈夫さが全然違います。

安価で、構造が簡単な外国製のセイロは、個体差もありますが
丁寧に使っていても数年以内で壊れることも珍しくはありません。
(持ち比べると分かるのですが、そもそも国産せいろをある程度おいてあるお店が減っているので、比べるのも難しい時代になりましたね。。)

これは当然ですが、絶対に必要な要素。

道具は使い方を誤ると壊れます。
以下の③との兼ね合いもありますが「正しい条件で使うという前提で、丈夫であること」と言ってもいいかもしれません。

②メンテナンスができる環境

(正直、メンテナンスができない商品カテゴリーもあります。)

↓例えば、自社製品に限りタオルメンテナンスをしている、IKEUCHI ORGANICというタオルメーカーさんもあります。
(ここでは10年使えるタオルと、目安で10年と言ってますね。)

タオルはどちらかと言えば、消耗品の側面がありますが。
分かっていただきたいのは・・。
メーカーさんが全て倒産・廃業してしまっては、メンテナンスや、次回につながる相談ができなくなるという事実。

●メーカーさんが存続できて
●メンテナンスというメニューがある
ということも大切な要素になると思います。

また、以下のジオプロダクトという鍋は、使用歴20年を超えてのメンテナスを承ることもあります
(宮崎製作所さん、本当にすごいです。)

③使い手に、良い理解があること

これが一番大切かもしれません。
そして小売業を営む人は、このために仕事をしているかもしれません。

たとえば、木製品なら、
メンテナンスってどうしよう?と、漠然とした不安を感じる方が多くいます。

お客様の良い理解は、
小売業にとっても、
お客様にとっても、
ものづくりメーカーにとっても、
本当に大切なポイントだと思います。

これは購入時に
●スタッフさんから使い方を聞くこと
●ネットでご自身で、正しく、お調べいただくこと
で理解があがってくるのだと思います。

また、ご自身の失敗から経験として学ぶこともあると思います。
(今のご時世、失敗と言う言葉そのものがネガティブですが。)

情報が溢れている

たとえば、プラスチックをつかっていなくて丈夫な鉄瓶も、使い方次第では簡単に壊れてしまうこともあります。

現在は情報が溢れております。
これだけ情報が溢れてしまったために、
逆に情報を選ぶ力が必要な世の中になりました。

ただし、限られた時間のなかで、正しい情報を見分けるのは至難の業だと思います。

強烈/簡単な表現が好まれる

情報が溢れ、限られた時間で買い物をしなければならない。
そのため、特にSNSや、インターネットでは、強烈・簡単な表現が好まれると感じています。

小売業に携わる人も、正直でなければなりません。
(嘘をついているということではありませんが、正直、道具である以上、壊れるリスクはあり、表現が難しいですね。)

しかし、
●強烈で
●ユーザーさんが好む言葉

を使わなければ、そもそも情報を見てもらえない傾向にもあります。

結果的に、冒頭の「一生もの」という言葉が乱発されるリスクも上がったのかも?と思ったりします。

一生モノ??

もちろん道具を大切に扱っていただけるのは嬉しく思います!
特別な言葉を用いることで、道具の特別感を出すことも必要なタイミングもあり、テンションも上がりますよね。

一方で、その言葉のハードルが高くて、なかなか手を出しにくい方もいらっしゃるかもしれません。
家庭用品に限っては、あくまでも生活の道具です。

興味があるけど・・どういうものかな??と、分からないことがあれば、地域のお店で是非色々聞いてみてください。

また、ユーザーさんと、小売店による相性などもあります。
自分にあう・信頼できそうだなと感じるsnsをフォローして情報を見るのも良いとは思います。

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