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鉄フライパンが育ちやすい「コメ油」など
三保原屋本店は静岡の家庭用品専門店。創業は1687年といわれています。
今日は鉄フライパンと油について。
鉄フライパンには「焦げ付きにくい」加工がされているわけではありません。
鉄フライパンに油が馴染むことで、徐々に焦げ付きにくくなります。今回もリバーライトさんにお世話になりながら、情報を纏めてみます。
(※今回は具体的な油の名前を出していきますが、必ず●●油じゃなければダメということではありません。)
【油が馴染む?】
油が馴染むって何??
と思う方もいらっしゃると思います。
いわゆる、鉄フライパンが育つ
という話です。
お店の店頭で実際に話すイメージを含めて文章を記載していきます。
①油が入り込む
常温で油漬けにしておいても、鉄フライパンは育つわけではありません。
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鉄フライパンを熱することで、鉄フライパンの"毛穴"が開きます。
この状態の鉄フライパンに油を入れることで、
鉄フライパンの"毛穴"に油が入り込みます。
新品の鉄フライパンは油が入り込んでいないので、入念に、この作業を行う必要があります。(中火がオススメです。)
②油が乾く
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この鉄の毛穴に入り込んだ油は、このままで馴染むわけではありません。
ざっくりと言えば、
「鉄の毛穴に入り込んだ油が乾燥する」
ことで、
「鉄フライパンに油が馴染んだ状態」
になります。
馴染んだ油は、時の経過とともに酸化をしていくので、できれば酸化しにくい油をお使いいただくと、お料理でのトラブルが起きにくいかなと思います。
【オリーブオイルよりコメ油】
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油の種類
実は油にも様々な種類があります。
一般のスーパーマーケットでは
●サラダ油
●オリーブオイル
などを見かけることが多いと思います。
他にも・・
●アマニ油
●コメ油
などの名前もご存じかもしれません。
油の特性
油は、種類により、以下のような特性があります。
大切なのは、乾きやすいかどうか??です。
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①乾きやすいかどうか
乾きやすさを示す分類で以下のように言われています。
乾性油:アマニ油、えごま油など
半乾性油:キャノーラ油(ナタネ油)、コメ油、ゴマ油など
不乾性油:オリーブ油など
②酸化しやすいかどうか
以下noteにも記載しましたが、油の酸化は非常に複雑なプロセスです。
現在では、光での酸化影響も明確には分かっていない状態なので、まずは上記①の油の性質(乾きやすいかどうか)が、大切になってきます。
以降は酸化に関する記載は省きますが、気になる方は【「油の酸化」とオイルポットについて】をご一読ください。
鉄フライパンに関して
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鉄フライパンに関しては、その性質から
①乾きやすい
油が向いています。
そして、アマニ油や、エゴマ油は生食が向いており(加熱により酸化しやすいですし)、加熱調理にもモッタイナイので、半乾性の油がオススメになります。
【具体的な例】
実は不向きなオリーブオイル
万能でおしゃれなイメージのあるオリーブオイル。
加熱しても酸化しにくく、お料理では何をするにも良さそうなイメージなのですが
「乾燥しないので鉄フライパンに膜をはりにくい」
という点があります。
そのため、オリーブオイルを鉄フライパンに使っても、実は鉄フライパンに油が馴染みにくいという性質もあります。
(オリーブオイルを使ってはいけないという意味ではありません。)
相性の良いコメ油など
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コメ油は
●半乾性油
という特徴を持っているので、鉄フライパンには相性が良いと言えます。
ここでコメ油の名前を出しているのは、含まれる成分が熱による酸化に”より”強いと言われることが多いためですが、光やその他の環境を含めて、全体的に『どの程度酸化しにいか』はケースバイケースになると思います。
そのため、近い性質があるキャノーラ油(ナタネ油)を普通に使っていただいても、十分に良いと思います。
【最後に】
実際のところ
今回は油が乾く性質についての記載でした。
まずは、良かれと思ってオリーブオイルをお使いの方で、鉄フライパンが育ちにくいと感じている方は、キャノーラ油(ナタネ油)などでお使いいただければと思います。
洗剤で洗ってもOK??
「洗剤で洗うと壊れてしまう道具」ではありません。
油馴染みが一部リセットされるというデメリットを認識したうえで、洗剤で洗いたい方は、軽く洗剤で洗ってもいいのではないかと思うことがあります。
(例えば、匂いが残りそうなお料理などをした後に、軽く洗剤で洗われる方もいます。)
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ちなみに、ちゃんと油をなじませた鉄フライパンであれば、洗剤で軽く洗っても一発で全ての油が落ちてしまうワケではありません。
(馴染んだ油の一部は落ちてしまいますが)
大切なのは、『鉄フライパンはあくまでも道具』だということ。
洗剤で洗う・洗えないを気にして使わなくなるよりは、どんどん使って頂ければ幸いです。
ちなみに、今回もチェックをいただいたリバーライトさんは
●サビにくく
●IHでも使える
鉄フライパンを製造しており、三保原屋でも年1~2回の実演イベントをしております。
過去に鉄フライパンでサビた経験があったり、初めてお使いいただく方には、オススメしやすい道具です。
ご興味のある方は、お取り扱い店のスタッフに色々とご質問いただければと思います。
【今回のポイント】
※お客様と話をするなかで、稀に感じるのが「オリーブオイル」への絶対的な信頼(?)感。
価格面を除けば、「全体的にオリーブオイルなら良い!」と思ってしまうことは私自身もあります。
油の性質と、鉄フライパンの性質を考えるときに、
オリーブオイルがダメということではなく、道具や油の性質を知っていただければと思い、リバーライトさんにも相談をして記載をしました。
一方で、油の酸化に関しては解明されていないことが多く、今回は「乾性、半乾性、不乾性」の点から文章を記載しています。