やまじゅうさんの鰹節が美味しい理由
三保原屋本店は静岡の家庭用品専門店。創業は1687年といわれています。
家庭用品店ですが、店内では焼津の「やまじゅう」さんの鰹節も販売しており、そしてそれが売れるという不思議なお店です。
鰹節のイメージ
鰹節は頂き物。個包装されているパックしか使ったことがない。
という方もいらっしゃると思います。
高級なイメージもあるかもしれませんが、サイズにより、節は1本で2000円くらいからと、決して高いものではありません。(三保原屋では削った鰹節も販売しています。)
ご自宅用であれ、プレゼント用であれ、「いざ、自分がお金を出す」となった場合に鰹節に何を求めるかと言えば、それはもちろん美味しさだと思います。
鰹節は分業が進んだ産業
鰹節は分業が進んだ産業です。
世の中で知られている鰹節メーカー(ブランド)であっても、【実際に鰹節工場を持っている】会社さんばかりではありません。
鰹節自体は分業が進んだ産業なので、つくる会社→削って売る会社と、会社によって役割が異なることが多くあります。
また、鰹節はカップラーメンなどにも提供されるため、大手さんは「安定した供給」が求められます。
一方で、小さなメーカーさんは大量生産は出来ませんが、「良いカツオが入った時」に鰹節をつくることができます。
鰹節の個体差
鰹節の原材料はカツオ。
当たり前ですが、自然のものなので個体差があります。
やまじゅうさんは、鰹節をつくる工場も、鰹節を削る工場も持っている会社さんですが、焼津でも一番小さな鰹節工場の1つです。
美味しい鰹節をつくるポイント
やまじゅうさんと話をする中で感じた、美味しい鰹節をつくるポイントをいくつかあげたいと思います。
①工場の体制
鰹節の産地、焼津の中では一番小さな工場。主に家族3人で鰹節をつくっています。
採用しているのは、昔ながらの手火山式という鰹節の製造方法です。
現在大手のメーカーさんは機械による効率的な鰹節製造を行っており、個体差のある鰹節に対して一括での管理を行っています。
カツオをさばくだけでも、その個体差が分かる(たとえば、脂がのっているか、身が引き締まっているか)のが手作業の良さ。
燻す工程が進むと、燻製をする部屋の中での作業となりますが、そこでも手作業の工程があります。
カツオの個体差にあわせた管理をすることができるのは、昔ながらの作り方の良さです。
鰹節は燻してつくりますが、手作業がベースとなっているので、確認作業をするたびに、煙のあたる位置を調整することもできます。
製品化する際も、鰹節の個体差に応じた製品に振り分けることができます。
②仕入れるカツオの鮮度
鰹節の難しいところは、”節”になると、見た目だけではその品質の差が分かりにくくなってしまうこと。
一方で、原材料となるカツオは、製造工程の中で鮮度を見極めることが出来るポイントがあります。それが「カツオの身を煮る」という工程。
鮮度の高いものは、鶏肉のようにプリッとした身が煮あがります。逆に鮮度が良くないものは身に割れが起きます。工場に行ってみさせてもらうと、鮮度の差は歴然。
もちろん、やまじゅうさんは、鮮度の良いカツオを仕入れています。
③カツオの鮮度に差がある理由
鰹節になるカツオは、一般的に巻き網漁によって捕獲されます。ある程度の量を一斉に捕まえようとするので、巻き上げに時間がかかります。
例えば
A.最初に巻き上げられたカツオ(生きたまま、すぐに冷凍される)と、
B.最後に巻き上げられたカツオ(少し海を漂ってから冷凍される)とでは、
冷凍されるまでにタイミングの差ができます。
そして、その【タイミングの差】が、【鮮度の差】となります。
やまじゅうさんは小さな工場さんなので、鮮度の良い、自分たちが欲しい量を買い付けることができます。一方で、大手さんは量を確保しなければならず、市場に安定した量を供給しなければなりません。
役割の違いから、やまじゅうさんは美味しい鰹節をつくり続けることができます。
出汁をとるだけではもったいない
やまじゅうさんの鰹節は一度味わっていただきたい商品の1つ。
大切につくられたものなので、是非出汁だけではなく、そのまま味わっていただきたい鰹節です。
ちなみに、静岡の方はおでんに魚粉をかける文化もあるため、冬は「オデン用に」と、”粉鰹節”が良く売れます。
また、通常よりもかなり厚めに削った鰹節の”厚削り”は、そのままジャーキーのようにして食べることもできるほど美味しいと評判です。
無添加・天然素材で、お子さんのおやつにも良いと思います。(駄菓子よりも体にいいのかな??と思い、我が家でもおやつに厚削りを食べることがあります。)
鰹節は静岡の地場産品の1つ。今後も大切に販売していきたい商品です。
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