じぶんのことばで話す
私のパソコンは、「い」と打つと「いつもお世話になっております。」が一瞬で出るようになっている。「か」も同様、所属している会社名が変換される。毎回使う定型文を打つ手間が省けるので、少しだけ効率がいいからだ。
ビジネスメールで打つ「いつもお世話になっております。」は、正直に言うと飾りのようなもの。そこに大きな意味がなく、言ってしまえばあまり「じぶんのことば」とは言えないものである。受け取る側もそれを知っているから、「じぶんのことば」以外を話しても成立するのだろう。
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今日、友人の結婚式があった。大きな声の、盛り上げ上手な友人・新郎。披露宴の最中でもおもしろい場面をたくさん作ってくれて、笑いが絶えなかった。最初の挨拶も、慣れない言葉にカミカミになりながら話す。ほかの披露宴で何度と聞いたことばを、にこにこと伝える様子に、「かまずに、がんばれ!」なんて笑顔で応援したくなってしまうほど。
仕事先上司の挨拶のことばも、親族からの結びのことばも、やっぱりどこか聞いたことのある文字列が並ぶ。もちろん、色々と調べて作った文章ではあるけれど、意識がぽーっと違う方へむかってしまう時がある。
式の結びに、友人が再び挨拶をした。"今日という日を迎えられた"お礼を、すこしカンで話す。そのあと、「人生でとてもよかったことが2つあります」と話し始めた。
1つは、まじめな父と愛情たっぷりの母のもとに生まれてきたこと、もう1つは、大学1年生の時に、可愛い女の子に巡り合えたこと。それが、今隣にいる〇〇〇ちゃん(新婦)、だという。
みんなを見渡して、にこにこしながらゆっくりと、幸せそうに話すそのことばは、ほかの式では聞いたことのない、彼だけのことば。新婦に対しても、ふだんと同じ呼び方を使ったのが、ふたりらしさを一層引き出していた。
ふたたび定型文に戻り、「ご指導ご鞭撻」のところでカミ、新婦に突っ込みを入れられて、新郎新婦は会場を後にした。笑いと笑顔があふれた、あたたかい挨拶だった。
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かしこまった式だと、きれいなことば、これまでの形式に合わせたことばを、どうしても使ってしまうことが多い。失礼があってはいけないし、それがフォーマットにもなっているからだ。
けれども聞いていて嬉しいのは、新郎新婦や挨拶をする方々が、じぶんのことばで幸せを語り、じぶんのことばでおめでとうを伝えていることなのだろうなぁと思う。じぶんのことばは、じぶんの内面を表現する方法の1つ。彼のことばから、「ほんとうに、幸せだ」という思いが伝わり、安心とここちよさが私の中にもいっぱいになった。
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結婚ラッシュの時はほとんどの式で余興をやっていたので、ごはんを楽しむ時間も、式を堪能する時間も限られていた。余興前は緊張であまり考えていられなかったからだ。
少し時間が空いて招待を受けた今日の結婚式。幸せなふたりをみながら、おいしいご飯をおなかいっぱいに食べ、あぁこんなに幸せなイベントだったんだなぁと改めて振り返ったのでした。
結婚おめでとう。末永くお幸せに。