行間に宿るコミュニケーション
ごもっともなことを言っているのはわかる。その通りに動いた方がいいことも理解した。けれど心が動かない、そんな経験をしたことのある人は、私一人じゃないと思う。
こちらのスケジュールを聞かずに、「この件重要だから、最優先で」と突然依頼が飛んできたり、なんの前置きもなく、明日までの依頼が前日夜に届いたり、伝えたいことを最後まで伝えられないまま「それは違うよ」と解説が入ったり。言っていることは正しいんだけど、なんだかなぁと思ってしまうことがある。
依頼を受けて気持ちいい人と、モヤっとが残る人との違いはなんだろうか。
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先日打合せをした媒体の編集長さんと話したとき、メッセージツールのやりとりの時にはあまり感じなかった温かさ、みたいなものがあって、一気にその人のことが好きになった。提出している企画が流れるように通るので、本当に大丈夫なのかと心配していたけれど、対面の時に「どれもおもしろそうだからもりやさんの企画はよくとおる」と言ってもらえたり、いつもは聞かないことばが聞けたので、一気に文脈や背景を理解することができた。
文字では省略されてしまった、行間にある気持ちが伝わって、大切にしてもらえているような、とても尊重してくれている印象を受けたのだった。
文章ではうまく伝わらなかったとしても、対面で話すとその人が抱いている想いが、雰囲気の中から伝わってくる。なので言葉では理にかなったことを言っていても、その裏に抱えているものが適当だったり、あまり考えていなかったりすると、「なんだかなぁ」と思ってしまうのだろうなと思った。そして気を付けないと、文章の語尾をはじめとした節々に、それは宿ってしまうような気がする。きつい言い方がよくないというわけではなく、それは相手を考えてのことなのか、それでも大丈夫なコミュニケーションが取れているか、が問題なのだろう。
相手はロボットじゃないし、奴隷でもなくて、一緒にいいものを作る人。命令ではなくお願いを。そして相手を信じる温かい気持ちを。もちろんモヤっとした人に対してもそんな風に向き合って、働いていきたいものです。