パパの電話を待ちながら
Yシャツ姿の男の人が、電車の中で本を読んでいた。タイトルは、「パパの電話を待ちながら」。仕事で夜の遅いパパが、毎晩21時に電話して娘に話した物語を綴る、イタリアの童話集らしい。
男性の左手薬指には指輪もあるから、きっと子どもがいるのだろう。彼も同じように、子どもたちに読んだ童話を伝えるのかなと想像したら、混雑した車内でもなんだかちょっとほっこりした気持ちになった。
小さい頃の父親との記憶はほとんどない。仕事が忙しく、私が起きてる時に帰ってくることは本当にまれだった。土日のこともよく覚えていない。1度だけ、一緒にバドミントンをしたような気がするけれど、何歳の頃だったかわからない。本のタイトルとあらすじを見て、「会社にいても電話くらいならできるんじゃない?」と、その頃の父親に教えたくなった。
今は男性も育休が取れる時代だ。企業によっては残業にも規制がかかり、子どもと一緒にいる時間が長く持てるようになってきたと思う。
「お母さんだけじゃなく、お父さんも育児に参加してもらう」と聞くと、"大変なんだからちょっとは協力してよ"と押し付け合いのような印象を受ける。けれど「父親も育児をする」のは押し付け合いじゃなく、自分の子どもと一緒にいれる、思い出が作れる貴重な時間がもらえるようになったということなはず。"お母さんの負担"ではなく、お父さん自身の喜びや、子どもとの思い出作りが、実現しやすい世の中になったのだろうなと思う。
電車の男性は今日、子どもにどんな話をするのだろう。子どもは今日のことを、いつまで覚えてくれるだろう。そんなことを考えた帰り道。
素敵な金曜日になりますように。
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