note初公開!拙著「経営とデザインのかけ算」のイラストレーション 〜その2
こんにちは。&D、Cotton’sの尾崎美穂です。今日は、2020年秋に出版予定の拙著で、イラストを担当してくださる川添むつみさんの章扉イラストが生まれるまでをご紹介します。
その1では、拙著のトーン&マナー設定や、ご依頼方法、基本のキャラクター設定をご紹介していますので、合わせてご覧ください。
イメージを膨らませる前に、条件や内容の共有と準備。
拙著の章扉イラストをどんな内容にしていくのか。章扉と言いますのは、各章が始まる入り口となるページのことです。そこでは、章の見出しとイラストで構成する予定です。
イラストの条件としては、章の内容が想起されるものでなくてはなりません。本文中の図説イラスト(また次回ご紹介します)では、ある特定の内容を補完することになりますから、情景が必然的に出てきやすいのですが、章扉のイラストは章を丸ごと言い当てる必要がありますので、なかなか難しい…。
私の頭の中だけの発想ではなく、表現のプロ、イラストレーター川添さんと、弊社の敏腕(笑)(って、別に笑わなくてもいいか…)プロデューサーSさんの力を借りようと、スカイプでのディスカッション大会を申し出ます。川添さんは快く受け入れてくださいました。
※ちなみに今や敏腕プロデューサーSさんの、入社間もない時のお話はこちら。
事前に各章の説明資料をお渡ししておきます。ゼロからの、しかもオンラインのディスカッションは、伝わりにくいし、アイデアも出しにくい。そこで、事前に用意した私の粗々アイデアラフを2人に見てもらいます。全部で5章分のディスカッションをしましたが、今日は第1章と第3章のイラストをご説明します。
※第1章と第3章の内容詳細はこちら。
私の考えはこうです。
●第1章:デザインは新時代のビジネススキル
ここでは「経営に生かすことができるデザインの手法や動向」などが描かれていますので、キーワードは「デザイン」。「デザインというのは人を中心に考えられる問題解決」。そこで「人を中心」のイメージにしたい。
●第3章:デザインが浸透しやすい会社環境を作る
ここでは「経営層が社員に目を向け、社員が力を発揮できる環境に整え、社内が一丸となれる方法」について描かれていますので、経営者も社員も関係なくみんなで会社を支えている、というイメージにしたい。
下記の①と③がそのイメージです。
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いや〜、恥ずかし…。「元イラストレーターでもある」とか言ってるわりに…ご容赦ください。
果たしてどんな表現がいいのか。
川添さんと一緒にディスカッション大会。
私たちはリモートという弊害に負けません。オンラインというデジタル手段を使いながらも、ひたすら言葉と表情をお互いに読み取り、その場で3人それぞれが手書きアイデアを、画面越しに見せ合いっこです。
もっとあるのですけど、今回は一部だけご紹介します。
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併せてこんなディスカッションも。
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[章扉イラスト共通/前提として]
●図説に比べて説明的ではなく、抽象的なモチーフを使用しながら、より印象的に仕上げたい。(by Sさん)
●人物の頭身を図説の人物よりもやや低めにして、カットを正方形に収まるイメージで、章扉としての統一感、連動感を出したい。(by 川添さん)
●人物の動きを図説よりもやや柔らかめにして、生き生きとした印象を出したい。(by 尾﨑)
●イラストレーターの本望として、「Design・Branding」とかの文字に頼らず、イラストだけで表現したい。(by 川添さん)
[第1章]
●周りにいるのも人。顔だけだとお化けっぽくてちょっと怖くなるんじゃない?
●図説の中でも「人を中心」を表現したものがある。それとの差別化が必要だよね。
etc…
[第3章]
●全身を描くとなると、全体に縦長のイラストになっちゃうね。正方形で収めるにはどうすればいいか。胴上げとなると意味が変わるかな?
●「会社を支える=持ち上げる」のもひとつだけど、「みんなで育てる=キュッと抱える」のもいいのではないか。
etc…
そんなディスカッションを行いながら、着地点を見つけて、約1時間のディスカッションで5章分の方向性を確定します。
理解してほしいから、意図を加えて、
説得力ある資料を出版社さんにご提案。
本番のイラストを描く前に、アイデアをまとめ、出版社さんに提案する資料を作ります。ただ、イラストをポンっと送るだけだと、こちらの意図は伝わらずに、印象だけで受け取るしかありませんし、先方は判断しにくくなります。ですから、私はこういった場合、なぜこうしたいのか、理由やメリットも含めて、できるだけ資料化します。
がしかし、一生懸命資料を作っても、ダメ出しはされちゃいます! 5章分の提案のうち、先ほどご紹介した第1章について、出版社さんからこんなご意見が。
「第1 章 デザインは新時代のビジネススキル」というタイトルについて、
イラストは「デザインは人を中心に考えられる問題解決法ですので、その『人を中心』をイメージ」されたということですが、これは本文を読まないとわからないことなので、タイトルそのものをイメージ化したイラストのほうがよいのでは?と感じました。
本文を読む前の人が1章扉を見たときに、タイトルとイラストのイメージがうまく結びつかない可能性もある気がしました。
的確なご指摘! はい。おっしゃる通りでございます。私の最初の発想が間違えておりました…。
川添さんにせっかくアイデア出しに参加してもらったのに、また相談するのは心苦しく、自力でさらなるアイデアを捻出。出版社さんに再提案したところ、すぐにOKをいただきました。ホッと一安心…。早速川添さんに出版社さんへ渡した提案資料を共有し、本番イラストに着手していただきます。
ちなみに出版社さんへの提案資料はこんな感じです。
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章扉や図説イラストの中では、様々な人物が出てきます。あらかじめダミーイラストを用いて作っていた仮の図説を元に、ひとりずつのキャラクター設定をしています。そして、その人たちがどこで出てくるのかも示します。
キャラクター設定と、第1章・第3章のアイデアラフです。
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私のこんなラフを見ると、どんな風に仕上がるのか、心配でしょ、皆さん。私も不安がよぎります。だけど、大丈夫なのです。描いてくださるのが、拙著の内容をしっかり把握・共感してくださり、自らの表現に誇りとこだわりを持つ川添さんだから。
川添さんからいただいた第1章・第3章の本番イラスト!
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いただいてすぐお返事した私のメールはこちら。
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川添さんとは修正やりとりがほとんどなかったから、noteで複雑なラリーはご覧いただけないのですが、こんなに円滑なのは、基本私が川添さんのプロ意識やイラストに惚れ込んでいるからなんでしょうね。
★そんな川添さんのHPはこちらです。
次回は図説のカットイラストと私の判断基準、そして、これら33点のイラストがどんな期間でできたか、などをご紹介します。
ところで!
「その1」をご覧いただいた方は、うっすら、note記事タイトルの変化に気づいてくださったかもしれませんが、今まで「仮題」としてお伝えしていた拙著のタイトルが確定しました!
タイトルは、提案から決まるまで、半年くらいかかりました。また次の機会に、その経緯についてお話したいと思います。
川添さんにイラストを担当していただいている拙著「経営とデザインのかけ算」は、2020年秋に刊行予定です。拙著の内容の一部を公開しています。興味を持っていただいた方は、こちらのページも合わせてご覧ください。
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