長く過ごした経験から成り立つ感覚を変化させることの難しさについて
時代の急速な変化に伴って、世間の価値観も大きく変わって来ている。
特にインターネットの普及や人口の都市集中化による地方の過疎化、本格的に貧困家庭という問題も我が国日本には出て来て、戦後の立て直しに集中していた当時の日本と現在とでは大きく進む方向が異なっている。
そんな中、教育や保育に関しては、指導要領が改善されない点が未だ多くあるなど問題は山積しているが、時代は大きく変革している。
価値観の変化と言えば、色々思いつくけれど、この度、IOC森会長の発言が女性蔑視と言われ非難を浴びた。今のマスコミは重箱のすみを突くようにニュースのネタを拾い上げるが、このニュースを知って私は、まず、「あり得ない」と思ったものの、83歳の森さん(敢えてさん付けしますが)にとって、この時代の変化に伴う感覚のリニューアルは相当厳しいものだろうなということ。
どうして日本の政治家やトップに立つ人達は、こんなにご高齢なのか?私は政治に関しての知識がないけれど、そもそもそれが時代に合ってると思わない。日本のトップに立つ人だから、当然、発言には注意を払わなければならないけれど、言葉を選んだところで、深層心理の価値観はもう変えることは困難を極め、酷なんじゃないかと。それでもご本人が使命感を持って現役にいらっしゃるのだから、その存在感は日本の歴史を見て来た人として大きいのだけれど。
今、どの分野に於いても、若者の発想は時代に合っていたり、思考の柔軟性、行動力、発案力がある。若者と言わずとも30代、40代のバブル全盛期を知らない世代の人たち。今までの日本でこれだけ行き詰まっているのだから、そもそも根底から覆すほどの変化が必要なのだろうと思う。高齢化が進んだ日本でそれが受け入れられるのは難しいとも言えるけれど、こうして森さんの発言がニュースに取り上げられるのだから、時代が変わって来ているのは一目瞭然。時代を変えているのは、次の時代を担う世代の人達なのではないかと思うのだ。
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私は保育士資格を取って3年半。資格があるないは関係ないとして、子育て支援を長年考えて来た。元々、児童虐待に目を向け、様々なケースを見て来た中で浮き彫りになって来たのが、子育て世代の核家族化。孤立化。子育てママの孤独化。
ひと昔前のようにご近所で子どもの成長を見守るような環境は、日本全国に於いてどれだけ残っているのか、私は都心部に拠点を置いているので特にそう感じるのかもしれないけれど、「知らない大人に声をかけられても付いて行っちゃダメだよ。」と言う時代背景はどこにあるのか。
同じマンションに住んでいてもご近所様の顔も名前も知らない。引っ越しの挨拶に伺っても面倒で怪訝な顔をされることもあった。変に他人に深い入りしない、それが私が関東で感じた地元関西との違い。実はそれが私は心地良かったりもしている。色々とプライベートなことを聞かれたり探られたりするのは苦手だからだ。
でも子育て時代はどうだっただろうか。やはり1人での子育てには限界がある。そんな中、相談相手も見つからず子育て鬱に陥るお母さんも多いだろうし、昭和の時代では、お父さんはお仕事へ、お母さんは家で子育て、というような役割分担、分業体制が主流だったけれど、今は女性も出産後も引き続き社会で働く時代にシフトしている。そんな中、子育て支援の必要性が大きくなるわけだけれど、果たしてこの時代の変化が正しいのか、50歳の私には本当のところ、分かってはいない。男女平等には賛成だけれど、それがイコール男女問わず自己実現のための保育園の必要性になると、スムーズに頭の中で考え方の移行が出来ない。子どもの最善の利益とは何か。私の判断基準の全てはそこにかかって来る。
とは言え、大きな社会の変化は受け入れるしかない。今の若い人達がそのように生きて行きたいのだから、それをサポートして行くのが大人社会の役割だ。その中で子どもの最善の利益がどう守られて行くのかを考えて行く時代なのだろう。
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そんな風に長い年月を過ごして来た自分の中での価値観の移行は、その必要性は分かってはいても、なかなか深層心理のところでは難しい。森さんがどんな方なのか実際にお会いした訳でもなく知り合いでもなく、想像でしかないけれど、そして言葉選びに注意しなければならない立場の人であるのは間違いないけれど、生きづらいだろうな、と少し思ったりもした。
付け加えて言えば、私は長年、人に優しくありたいと思って生きて来たけれど、人からあり余る優しさや愛情を受ける経験値が少なく、慣れていない。最近、色々な方から優しさを受け取るのだけれど、とにかく満たされることに慣れていなくて、頭の中で処理が追い付かないでいるのだ。
人って、意外にそう簡単に変わらない。幼稚園時代の人見知りで引っ込み思案だった私が、実は自分の原型で、今の活動的と言われる姿は仮の姿なのかもしれない。
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