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令和3年度 首都圏の公立中学校が採択する英語教科書を比較

新年度をスタートして1ヶ月が過ぎました。
令和3年度、中学校の教科書が切り替わったことをご存じですか?

私の暮らす地域では、英語の教科書が別の出版社のものに変わりました。長年同じ出版社のものを採用していた地域でしたから、とても驚きました。気になったので、複数の出版社の教科書を購入してパラパラ比較してみて、なるほどと腹落ちする感覚がありました。

今年度、出版社を切り替えた自治体は多いように感じます。毎回こんなものなのかもしれませんが、首都圏の公立中学校の英語教科書の採択についてまとめてみました。前々期の採択実績の資料が見つかりませんでしたので、前期(平成29年~令和2年度)と今期(令和3~6年度)とを比較しての所感です。


教科書採択実績(前期比)

今回の調査において、首都圏とは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を指します。教科書の採択については、各都県が定める地区の判断に委ねられています。4都県で119地区あります。

令和3年度、中学英語の教科書を扱う出版社は以下の6社です。
 ● 東京書籍(東書)
 ● 三省堂
 ● 光村図書出版(光村)
 ● 啓林堂
 ● 教育出版(教出)
 ● 開隆堂

以下の表に、前期と今期の各教科書の採択地区数を示します。
※学校図書出版(学図)は、今年度は英語教科書の出版はありません。

採択年度別比較

出版社だとピンとこない人もいるかも知れません。「New Horizon」(東書)、「New Crown」三省堂、「Sunshine」(開隆堂)と言い直すと馴染みがあるかと思います。そして、多くの方が、この3社のいずれかの教科書を使って学んだ経験があるのではないでしょうか。

東京書籍の伸びが著しく、数字を落としながらもシェア2位をキープする三省堂、足踏みをする開隆堂という様相です。日経新聞(2015)の記事によると、前々期はのシェア1位は東京書籍で、三省堂と開隆堂がほぼ同水準だったようです。そう考えると、前期数字を取り過ぎただけと考えることも出来るかもしれません。この3社間でパワーバランスを保つためなのかなという気もしたり…。いずれにせよ、パッと数字を見ただけでも分かるとおり、前期までは英語教科書といえばこの3社だったわけです。

しかしながら、今期、大躍進を遂げた出版社があります。光村図書出版です。前期から+20地区と断トツの伸び率です。


出版社の切替えパターン

では、光村の+20はどこから来たのでしょうか。

今年度、学校図書出版(学図)は英語教科書を発行していません。そのため、学図を採択していた19地区は、否が応でも出版社を切り替える必要があります。

まずは、都県別に出版社を切り替えた地区がどれくらいあったかを見てみましょう。

採択切替有無

出版社の切り替えをした地区は約半数でした。その中で、千葉県の33%は低いように見えます。後でまた出てきますが、前期に学校図書出版を採択していた地区が少なく、必要に迫られて切替えなければならなかった地区が限定的だったからかもしれません。もちろん、それ以外の理由も考えられると思います。

次に、前期→今期の出版社の切り替えパターンを見てみます。

採択切替パターン比較

出版社を切り替えた地区は58(学図の分を除くと39)です。

表から分かるとおり、学図のシェアの半分近くが光村に流れています。それに加え、主要3社がお互いのパイを奪い合う中、その3社からも一定数が光村に流入している点も今回の大躍進に繋がっているように見えます。

光村の教科書は、「COLUMBUS 21」から「Here We Go!」と名称も改められています。今年度の光村の教科書はどう変わったのか、次回以降に詳しく見ていきたいと思います。


都県別採択実績

では最後に、都県別の採択実績を見てみましょう。

採択都県別比較

東京都と神奈川県、埼玉県と千葉県で、見事に分かれています。

三省堂の「NEW CROWN」は、私立中学校で良く採択されている教科書です。しかし、東京都と神奈川県の公立中学校でも三省堂が主流であることが分かります。一方、埼玉県と千葉県では、三省堂の採択はほぼなく、開隆堂が圧倒的なシェアを持っています。これは、今期の実績にも引き続き見られる特徴です。とはいえ、東京都と神奈川県における、東京書籍と光村のシェアが拡大は目を見張るものがあります。

これだけ光村の採択率が上がっているにもかかわらず、一切採択していないのが千葉県。前述の通り、必要に迫られて切替えをした地区が少なかったことも理由の一つかも知れません。


まとめ

首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の公立中学校における、令和3年度の英語教科書の採択について、

● 英語教科書の切替率は約50%
● 東京書籍「NEW HORIZON」がシェア1位
● 光村図書「Here We Go!」大躍進で開隆堂に並ぶ3位
● 東京・神奈川では三省堂「New Crown」がトップ
● 埼玉・千葉では開隆堂「Sunshine」がトップ

余力があれば、他の地域の採択状況についても見てみたいですが、どこかの新聞や文科省がまとめてくれるのを待つ方が早いかも。

そして主要な教科書は入手したので、次回以降は各教科書の特徴を見ていけたら良いなぁ…と思いますが、いつになるかな。


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