HUGEのすゝめ⑦🇺🇸🇫🇷🇪🇪🇯🇵で、原発を語る
11月のHuman Ecologyのコースの2つ目のセミナーで、
アメリカ人、エストニア人、フランス人、と日本人の私で、”原発”について、グループワークをしました。
お題は以下の通り。
私のグループは、“More nuclear energy production or not?”について、スウェーデンの例を用いて議論しました。
このグループワークで、”原発”というホットなトピックを、アメリカ・エストニア・フランス・日本という原発に密接な国籍で構成されたグループで扱い、お互い各国の事例を持ち込みながら、互いの政策の意見について踏み込んで議論をしました。
このグループでまとめた1000字のレポートはとても満足のいくもので、”色んな視点を取り入れて意見を建設する”議論の仕方が身についたと感じたし、
このグループワークは私にとって、グループワークの心理的ハードルが下がった大成長の機会でした!
グループワーク、ホッとした
セミナー用のディスカッション、楽しかった、、、私がどもっててもみんな聞いてくれる、、そして、”間”があって喋りやすかった、、!!!
この授業は違うプログラムの人たちと同じコースで、私のグループは4人中2人が顔も知らない人たちでした。しかも全員男性だから(偏見で申し訳ないけども)話しづらくないか不安で、めっちゃ緊張してたけど、楽しく過ごせました!
フランスの子は「他の意見でも大丈夫。君たちの選択肢がなかったけどよかった?」とか気遣いがあったし、エストニアの子は私の意見にリスポンスしてくれたし、アメリカの子は日本のことを沢山聞いてくれました。
あと、センシティブな話題も表現に気をつけて聞いたり・言ったり、リスポンスしたり、私もちゃんと議論できてる!と少し自信がつきました。
レポートを書くのはアメリカ人の子とペアになりました。ネイティブ英語で緊張したけど、普通に会話できた。私が英語に詰まったりうまく表現できなくても、読み取ってくれた。
一方、よくわからなくて聞き返した時、彼も自分の意見がまとまってないと言われ、英語だからといって、「理解できない=英語ができてない」わけではないことを知りました。
More nuclear energy production or not?
科学と政策(政治)の関係性を、批判的に考える
このグループワークのテーマは、サイエンスと政策(政治)の関係性について。
そもそも、サイエンスは絶対的なものなのか?知識とは何か?サイエンスは、ある特定の視点で導かれるが、ユニバーサルだと捉えていいのか?ゆえに、政治はサイエンスに依拠しているが、それは"scientification of politics"ではないか?逆に、サイエンスの扱う研究テーマも政治に影響され( "politicization of science")、問題の本質から遠ざかったり、研究対象外の文化・地域はますますmarginalizeされるのでは。これは、colonalismと考えられないか。
グループワークの前に、このようなテーマの講義を受けました。
個人的に、”Referendum (国民投票)”というアプローチが面白かったです。これは、市民参加型の政策づくりで、科学者がリサーチを説明し、政治家が政策をいくつか提案し、市民がその政策に対して意見をしてそのシナリオを改善し、市民がどの政策がいいか投票することで、政策が決まる。
以下、自分がささったパラグラフたち。
日本人として原発を語る
グループワークでは、まず、フランス人の子が、「フランスでは約80%のエネルギーが原発。どんどん古くなってて、問題なんだ」と原発の問題を持ち出しました。それに対して、私は、日本も原発がホットな話題なので、以下のようにリスポンスしました。
そして、授業でとりあげられていない、グループメンバーがめっちゃいい!って言ってくれた私が思いついた視点が、「科学に対する人々の信頼」。
日本の原発への人々の意見は、地震によるダメージと強く結びついていると思って、この視点が思いつきました。
「いつ地震がくるか、どれくらいの大きさか、予測してそれが当たった科学者はどこにもいない。だから、いくら科学者が安全だと言ったからって、地震の国で生きる市民は科学者の意見を信用しない、少なくとも受け入れないと思う。」
こう私が意見した時に、特に一緒に作業していたアメリカ人の子に、「とても面白い。科学は信用するものだと思ってた」と言われました。
「科学に対する人々の信頼」という視点は、地震の多い島国出身者だから持てたもの。他のグループとの大きなディスカッションの場で、この視点についてコメントしなかったこと、とても後悔、、、
正しいかな?変なことじゃないかな?と思ってしまった、、あと、自分の視点だから自己中心的な発言じゃないかなと不安でした、、、
授業で取り上げられていないことだからこそ、教授を含めてクラス全体に新しい視点。だから正しい正しくないなんてないし、視野が広がるような意見こそ学問への貢献。いまだに後悔しています、、
一方で、知識不足も痛感しました。意見できなかったのは、発言に対するメンタル・考え方も理由の一つだけど、知識を増やすことは意見する自信に繋がるから、意見できなかったのは知識不足のせいだと反省もしました。(2024年12月20日)
🇺🇸🇫🇷🇪🇪🇯🇵で🇸🇪の原発を語る
グループでの議論は、フランスと日本の事例で白熱したけど、みんなにとってフェアになるようにと、フランス人の子がスウェーデンについてやろうよと提案してくれました。
一方、私は、「フランスの事例だったらその子がリードしてくれそう」「日本の事例だったら日本語で調べられる」とか腹黒いことを思ってました、、
彼のような気遣いができるようになりたい。どうしても日本の競争教育で育ってきたせいか(韓国人の友達と、やっぱり競争社会で育ってきたというアジアのバックグラウンドは影響しているよね、と話しました。詳細は別のノートで)、いい意見言わなきゃと思ったり他の人の意見をジャッジしてしまうけど、コースメイトは仲間だと思うようにしたいです。
以下、私とアメリカ人の子が担当した、市民からみた科学と、市民・科学・政治がどう関係すべきかのpolicy-makingのモデルのsuggestionです。
主な主張は、
1、原発を増やすか否かについて、科学的な調査(quantitative)だけでなく、市民の意見の聞き取り(qualitative)を扱うべきだ。つまり、政策にquantitativeとqualitativeの視点を取り入れるべきだ。
2、原発の近くに住む人々へのアンケートはしばしば行われているが、市民の意見の聞き取りは、原発の近くの住民だけでなく、幅広い人々を対象にすべきだ。発電所周辺以外に住む人々は科学的事実に基づいてこの問題を考える傾向がある一方で、周辺に住む人々は感情に基づいて回答する傾向があり、色んな場所の人々の意見の調査も、quantitativeとqualitativeを繋ぐ橋渡しになる。
3、市民の視点を科学・政策へ取り込む方法としては、”Referendum (国民投票)”を提案する。科学者がリサーチを説明し、政治家が政策をいくつか提案し、市民がその政策に対して意見をしてそのシナリオを改善し、市民の投票によってどの政策をとるか決まる。
4、市民への意見調査の質問は、環境科学者、社会学者、気候科学者、地理学者と協力し、1)利害関係者や住民の実体験, 2)科学的リテラシー, 3)原子力発電拡大の持続可能, 4)経済的持続可能性に焦点を当てた質問を設計することを提案する。これは、人々にとって投票の判断になる、人々が理解しやすい・人々が自分ごととして考えやすい材料になる。
3. Perspective from people
Sweden has 6 power plants for nuclear power in three different areas; Formark, Oskarshamn and Ringhals. Formark has 3 power plants, Oskarshamn has two and Ringhals has one.
In addition, Formark has a final repository for nuclear waste and Oskarshamn has a plant for interim storage and encapsulation of spent nuclear fuel (Strålsäkerhetsmyndigheten). The reactors in Sweden are owned and operated by Vattenfall (government-owned), and private utilities include Uniper SE (formerly E.ON Sweden, majority-owned by the German government) and Fortum Sweden (majority-owned by the Finnish government)(World nuclear association, 2024).
We propose conducting a survey that centers on questions related to the expansion of Sweden’s nuclear power capabilities and the introduction of new plants. We hope to engage a diverse population of those with and without experiences in proximity to the production processes of nuclear energy. Questions will include topics such as increasing nuclear powers share of the national electrical supply as well as the mechanizations behind producing nuclear energy. As the current nuclear plants are owned by companies in and outside of Sweden, it will be necessary for the non-Swedish power plant employees to be included in the survey.
We propose a survey of the opinions from people living close to and working for the power plants, in Formark, Oskarshamn and Ringhals, and at the same time, the survey of those from people living outside the areas.
These two different surveys indicates that both are qualitative, which means it reflects the perspective from society, and besides this, they are the means to bridge scientific(quantitative) and people’s(qualitative) perspective because people living outside the power plants areas tend to consider this issue based on the scientific facts while those in the areas answer based on how they feel.
To create the questions and analyze the results, we propose engaging with environmental scientists, sociologists, climate scientists, and geographers in order to produce questions that focus on 1) stakeholders and residents' lived experiences 2) scientific literacy 3) sustainability of expanding nuclear energy production 4) economic sustainability. Through this transdisciplinary approach to the production of the questions and analysis, we hope that the results of the survey will produce a proposal that can easily be synthesized by the public before voting in the referendum.
4. Policy
Scientific actors/institutions provide stakeholders with
1. Background information on energy needs & energy systems
2. Detailed information about nuclear energy production (considering all steps of the process: construction, functioning, waste management, risks and dismantlement)
3. A panel of different scenarios for the future of energy production: some that rely mainly on nuclear energy, some that rely on nuclear energy to some extent, and some that do not include nuclear energy
People surveyed will be able to critically reflect on nuclear energy production (qualitative). Once presented with the panel of scenarios they rank them from best to worst based on the information above that scientific actors provide(quantitative). They can also suggest how the scenario they chose could be improved according to them (qualitative).
This process is done in groups and lasts several sessions.
Ultimately, the people will decide through a referendum - after engaging with the surveys and available information - to either increase nuclear production or not. This decision will hopefully be informed through engaging with our project's analysis on the current and future energy needs of Sweden, quantitative analysis of the perspectives from science, and qualitative perspectives from people.