【パッケージの話009:箔押し】
今日は箔押し(ホットスタンプ)の話。
箔押しはその名の通り、金や銀のシートを熱した版で押し付けて貼り付ける加工のこと。
箔押しの構造
2018年の Pakection!主催の包装族イベントで、株式会社Sakae Plus さんに箔押し体験のワークショップをしてもらいました。Sakae Plusさんは箔押しの版を制作している会社です。
ワークショップで使った箔押しの版。上のものは熱で色が変色しています。
以下がワークショップの様子。実際はもっと大きな機械ですが、構造的には同じです。熱伝導部分に版を設置し。箔のフィルムと紙を重ねて差し込みます。
レバーを下げてぎゅーっとプレス。
版のあるところだけくっついているはず。
ゆっくりめくります。これはホログラム箔でしたね。
箔がきれいにくっついてます!
というのが、箔押しの基本構造。熱でプレスするので、ホットスタンプ、ホットと略して呼ぶ場合もあります。ここでは言及しませんが、ホットに対してコールドホイルもあります。
箔メーカー
箔のメーカーさんもそれぞれに特徴があり、村田金箔さんは紙から布からオールマイティな印象。私たちパケクションの展覧会でも何度も箔提供いただいてます。カタニ産業さんは化粧品の容器やパッケージなどに強い感じ。クルツジャパンさんは箔+加工の技術がすごいイメージがあります。
箔押し+エンボスで箔を盛り上げることは技術的には十分可能ですが、盛り上げることによって表面に傷が付きやすくなります。箔やホイル紙は輸送など微振動で細かい傷が付くことが多く、せっかくの高級感が仇になったりクレーム対象になったりしてしまう。この「立体に見える箔」は、触った感じは全くの平面なのでそういった心配がないのです。
箔の見本帳
箔にももちろん見本帳があります。金ホットスタンプの色は赤金、青金のどちらかで指定することが多いですが、その中間ぐらいの箔の色をプラチナ箔と呼んでました。光り方が上品なんですよね。光沢もマットもあります。
顔料箔と呼ばれる、色そのままの箔もあります。色だったらオフセット印刷すれば?というとこですが、濃い色の紙に白をはっきり出したい時や、エンボスのきつい紙にはっきり印字したいとか、オフセットと差別化したい時に使ったりします。更に透明箔も。透明箔はニスとの差別化が難しい...
このあたりは村田金箔さんの箔見本帳。新色も!
ホログラムの柄はメーカーさんによって特徴が出ますね。しかしこのキラキラ感を写真に撮るのが至難の技...
後加工で、箔にエンボスを施して加飾することもできます。箔版メーカーさんは独自のマイクロエンボス版を開発していて、箔に更なる付加価値を与えています。
2017年のパケクションの展覧会では、株式会社Sakae Plus さん全面協賛で、透明箔にマイクロエンボスを施したDMを作らせてもらいました。キャスト系の紙やニスの上に施すのが効果的。
変わった使い方--天金加工
この時の展覧会作品では、小口に箔を押す「天金加工」に初挑戦。
名刺や辞書などでは見かけますが、パッケージに使うのはかなりレア。村田金箔さんのホログラムをハーフカット箱の小口に押しました。印刷加工は上六印刷にお願いしました。
こんな狭い面積にきっちり箔を押すために、小口を極限まで平滑にしないといけないそうで、数十枚を万力で束ねてカンナをかけてから箔押しするそうです。
変わった使い方--両面箔押し
2018年には、箱の表面にロゴ、内面全面にパターンを箔押しをしました。両面箔押しは技術的には可能ですが、デザインや素材によってどちらかに影響が出てしまうそうです。
実は、パッケージデザインがPCで完結するようになってから箔を使う意識が薄れているようです。CMYKだけでデザインをするのが基本になっているのかも。箔の使い方を覚えて、効果的に使っていきたいですね。
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