三原美奈子

パッケージデザイナー。 三原美奈子デザイン代表。公益社団法人日本パッケージデザイン協会理事。パッケージデザイナーグループ・パケクション主宰。包装族リーダー。大阪生まれ、奈良育ち。

三原美奈子

パッケージデザイナー。 三原美奈子デザイン代表。公益社団法人日本パッケージデザイン協会理事。パッケージデザイナーグループ・パケクション主宰。包装族リーダー。大阪生まれ、奈良育ち。

最近の記事

ハロウィン2023商標観測

今年もハロウィンの季節が来ました。9月末から一斉に商品がスーパーに並ぶと、毎年恒例の商標観測です。「ハロウィン」といえば不二家さんの商標ですが、各社いろんな工夫でハロウィン商戦に乗り込んでるところに面白さや涙ぐましさがあるのです。では今年の売り場を見てみましょう。 何かをくっつけて「〇〇ハロウィン」にするのはOK。これで商標を取っている会社が多いです。この場合、〇〇とハロウィンが一体化して見えないとNG。ハロウィンだけ極端に文字が大きいとかはよくない。 ロッテさん「Enjo

    • バレンタインパッケージ2023

      2023年のバレンタインパッケージの振り返り。気になったものを紹介します。 まずは、最近増えてるVカット箱。シンプルなものが多い中、全面にデザインが入ったこちらを購入。北海道の「き花」を作っているメーカーさん。 Vカットはコスト高めなので、特別感を出したいバレンタインにはマッチしてますね。 エスコヤマからは紙管。天面がフラットの紙管に紙がぐるぐる巻いてあります。 印刷はオフセット4色+金箔押しですが、黒豆っぽい部分(チョコの雫?)のみグロスニス。いつもながら細かいところ

      • 【パッケージの話014:段ボール印刷】

        今回のパッケージの話は段ボール箱。カートンやパッキンとも呼ばれますね。段ボールにデザインする場合は大きくわけて2種類、直接印刷する場合と、オフセット印刷した板紙を段ボールに貼り合わせる(合紙)場合があり、今回は直接印刷する場合のお話です。 段ボールのフレキソ印刷 段ボールは厚みによってA〜G段と段階がありますが、最も薄いG段以外はフレキソ印刷になります。フレキソ印刷のイメージは昔ながらのみかん箱。グラデーションや細かい文字は再現できず、印刷色も限られた色の中から選ぶことがほ

        • 【パッケージの話013:Vカット箱】

          今回のパッケージの話はVカット箱です。あまり見かけないかもしれませんが、分厚い板紙が印象的な箱です。 極厚のボード紙(再生紙)にスリッターでV字の溝を入れて組み立てます。コストは高いです。 Vカット箱のしくみ例えばこの箱。 開けてみたらVの溝が入っています。これがVカット箱。 これは数年前のエスコヤマさんのバレンタインデー用パッケージ。Vカットのスリットは「途中まで入れる」という事ができないので、こんな風に上から下まで貫通します。Vカットと貼箱(身)との組み合わせ。

          【パッケージの話:カンプ作成/個包装】

          ここではフィルムでの個包装のカンプ作成方法を解説します。 紙ではなくフィルムなので何かと厄介。外箱と個包装など両方作って提案という事も多いので、知っておくと便利です。 透明フィルムは何で出力する?透明フィルムでの出力は、知り合いの業者さんや出力センターにお願いする場合もありますが、時間がない時は通販印刷グラフィックで「透明PETシール」を1枚だけ発注します。事務所のプリンターでできない理由はただひとつ、白インクが印刷できないからです。(学校にUVインクジェットプリンタがある

          【パッケージの話:カンプ作成/個包装】

          【パッケージの話012:個包装】

          今日は個包装の話。 いろいろありますが、一番よく見かけるのは透明フィルムのピロー包装。お菓子に多いですね。紙の箱と違い、ベースが透明なので白版作成などデータが少し厄介。基本グラビア印刷なのでロットは大きくなります。 ピロー包装のしくみ表面のデザインから見て、上下に入る表示は逆さまになります。また、光電管の黒いマークがあるのもフィルム包装ならでは。このマークで感知して自動製袋(せいたい)します。 実際の形はこちら。確かに枕(ピロー)っぽいかも。ちなみに個包装のピローと、箱の

          【パッケージの話012:個包装】

          【課題2:ひとりマーケティング】

          パッケージ、2つめの課題です。今回はマーケティングの課題なので、パッケージデザインだけでなく商品企画に興味ある人におすすめです。飲料を購入しないといけないですが、1つのコンビニで十分揃うので無理しないでくださいね。 用意するものドリンク(同種類のもの2〜4本、別メーカーのもの推奨)、ガラスのコップ、筆記用具。 今回はカフェオレ。実はこれオレンジジュースが定番だったんですが、最近コーヒーや紅茶関係が充実していて同種類のものが見つかりやすかったので。 観察してレポート商品を

          【課題2:ひとりマーケティング】

          【パッケージの話011:POPシール】

          今日はPOPシールの話です。POPシールもパッケージの大切な要素。飲料や調味料から、シャンプーなどトイレタリー、洗剤まで。ボトルや瓶によくくっついているPOPシール。私もPOPシールを作る機会が多いです。本体デザインを変更するのは大変ですが、シールで新しい印象にして販売促進します。 POPシールのしくみ素材としてはアルミ蒸着か、ユポ(白)、透明PET。いずれもプラです。折れの問題などがあり、現状では紙にするのは難しそうです。 必殺!ノリ殺しPOPシールでよく出てくるのが「

          【パッケージの話011:POPシール】

          【パッケージの話010:紙管】

          今日は紙管の話です。「しかん」と呼びます。紙でできた円筒のパッケージ。お菓子や食品によく使われますね。これも技術が詰まったパッケージです。流通している多くがスパイラルと呼ばれる構造のものです。 印刷紙で巻かれた紙管紙管の「身」部分はこんな感じ。スパイラル自体はラップの芯のようなイメージです。工場で長く作られ、用途によってカットされます。 フタは「巻きしめ」と呼ばれる外側が浮き上がってるものがほとんど。 代表的なスパイラルの紙管。 これはインドネシアにスタディツアーに訪

          【パッケージの話010:紙管】

          【パッケージの話009:箔押し】

          今日は箔押し(ホットスタンプ)の話。 箔押しはその名の通り、金や銀のシートを熱した版で押し付けて貼り付ける加工のこと。 箔押しの構造2018年の Pakection!主催の包装族イベントで、株式会社Sakae Plus さんに箔押し体験のワークショップをしてもらいました。Sakae Plusさんは箔押しの版を制作している会社です。 ワークショップで使った箔押しの版。上のものは熱で色が変色しています。 以下がワークショップの様子。実際はもっと大きな機械ですが、構造的には同

          【パッケージの話009:箔押し】

          【課題1:パッケージを巻き戻す】

          パッケージを学びたいけど機会がない!そんな学生さんへ、パッケージデザイン に興味があれば、こんな課題に取り組むのはどうでしょう? 私が授業の中でやってる課題をアレンジしたものです。おうちにある箱でできるので、ぜひ挑戦してみてくださいね。 用意するもの未開封の箱(お菓子がベター)画用紙、筆記用具、定規、カッターナイフ、両面テープ。できればカッターマット上でやりましょう。 私は、たまたまスーパーで見つけた「オリゴスマート」を使ってみます。 展開図をつくるまず箱を、展開図が

          【課題1:パッケージを巻き戻す】

          【パッケージの話008:貼箱】

          今日は貼箱です。トムソン箱は一枚の紙から作るのに対し、芯紙とよばれる厚紙(板紙)にくるみ紙(70〜90kg程度の薄い紙)を貼って作ります。 用途としては、トムソン箱より高級感を出したい時によく使われます。お菓子や化粧品以外では、一定期間使われて強度が必要な場合、例えばサクラクレパスも有名な貼箱です。 貼箱の構造2019年にパケクション「もやいなかたち展」に出展したのも貼箱でした。(木版画/ふるさかはるか) くるみ紙はマーメイド/フロスティホワイト/70kgです。マーメイ

          【パッケージの話008:貼箱】

          【パッケージの話007:牛乳パック】

          今日は紙箱といっても番外編、牛乳パックの話をします。 おなじみの三角屋根の牛乳パックは包装容器としては「ゲーブルトップ」と呼びます。飲料に直接触れるのでバージンパルプのみを使用、容器としてはすごく高級な素材です。 飲料そのものを紙で包む訳なので、かなりの強度が必要。北米や北欧などの針葉樹で作られた紙で作られてます。針葉樹の紙は繊維が長くて丈夫なんですよね。パッケージに使う紙だと、インバーコートが針葉樹の紙として有名です。反対に、広葉樹が多く配合された紙は繊維は短いので柔ら

          【パッケージの話007:牛乳パック】

          【パッケージの話006:組箱】

          そのほかのトムソン箱(組箱)です。 いろいろなトムソン箱一枚の紙をトムソン(木型)で抜いてできた箱は全てトムソン箱(組箱)なので、あらゆる形状があります。 前述のもの以外で多いのが、インロー式やスリーブ、N式やピロータイプなど。なんとなくの用途でマトリックスにしてみました。(あくまで経験的イメージ) 素材や加工でイメージは変わりますが、高級なものは身フタ箱になるイメージがありますね。 スリーブ箱身箱の形状は同じで、筒状にしたフタ部分から引き出して開けます。筒状で止まる部

          【パッケージの話006:組箱】

          【パッケージの話:カンプ作成/箱】

          今日は、身フタ箱の作り方です。 昨今はデータ納品も多く、一から箱を作る必要がない場合もありますが、私は立体にしないと自分で確認・把握ができないので、箱の場合は基本的に立体カンプを作ります。プレゼンも立体カンプですることが多いですね。面倒ですが、これが一番わかりやすいし説得力あるのです。 身箱の作り方まずは「身箱」を作ってみます。まずはこんな風に縦横ざっと線を引きます。手書きでもデータでもOK。 サイズ 160mm×72mm×25mm/額は6mm(内寸:148mm×60mm

          【パッケージの話:カンプ作成/箱】

          【パッケージの話005:組箱】

          引き続きトムソン箱です。今日は身フタ箱、額なしと額ありバージョン。ギフトやお土産のお仕事してる人はこれ頻出しますね。キャラメル箱と違い、嵌合(かんごう・フタと身のハマり具合)の問題が出てくるので難易度が上がります。 額のあり/なしは身箱だけです。フタは全て額なしの形状です。 身フタ箱の例。 随分前に作った大阪のお土産ですが、これは5mmの額ありですね。額は5mm〜8mm程度で、5mm以下になることはほぼありません。 お菓子は個包装がフィルム、外装が紙箱というパターンが

          【パッケージの話005:組箱】