壁とコラージュ、再構成 「壁に世界をみる 吉田穂高展」
さて昨日の内容を深く掘り下げる形になりますが、三鷹市美術ギャラリーにて「壁に世界をみる 吉田穂高展」(すでに終了済み)があったので行ってきました。
元々は母親から面白いと勧められたのもありますが、今年は絵画だけではなく様々なアートに触れようと考えていたことや、知らない方の作品にどんどん出会っていこうという方針があったからというのもあります。
さて吉田穂高氏は版画家で、父親の吉田 博は明治に活躍された版画家として有名で海外でも高く評価された人として有名です。そして母親が油絵画家という環境の中、芸術一家として生まれました。
初期の頃は具体的なモチーフからより抽象的とまではいかないものの単純化したものが多かったです。そして兄とともにメキシコに行ったことでマヤ文明の遺跡に触れ、モチーフも具体的なものから神話や遺跡の方に変化してきました。
「呪術者」
その中で特に思ったのは無題や概念のようなタイトルがより増えていったことでしょう。後年になるとまた世界は変わりますが、それを考えるとまさにこの時代は変異、あるいは変態の途中のように感じました。
ところで版画の良さについていろいろ思ったのは、掘るということと刷るということの間に時間差があるということです。例えば絵画では絵の具で色を作りキャンパスに描きます。
この描いた瞬間というのは形と色が同時に表現されて描写されていることのように思います。そのように考えると版画というのは刷ると絵の2行程があるようにその間に時間的な空間が生まれます。
この空間がどのぐらいになるか分かりませんが、少なくとも彫りながら想像していた色と実際に色に刷るときの色とは違うかもしれません。もしかしたら同じかもしれませんが瞬間で考えるならば同じように見えて実は違う色になっていることのほうが多いように感じます。
つまりこのどうしても生じてしまう掘ると刷るの時間差にこそ版画の良さが埋め込まれているのです。今回数々の作品を見てそのように感じました。
そんな吉田穂高ですが、後年になるとまた新たな形を取ります。それは過去にいろいろな旅行先で撮っていた写真達を板上で再構成し、コラージュして刷るというリトグラフという手法です。
「町外れの神話、昼」 (神話シリーズの1つ)
穂高氏の作品にはいくつかのシリーズものがありますが、「私のコレクション」と呼ばれるシリーズはその典型です。氏が当時いいなと思って撮った写真が時を経て新たに作り出される様子、そして亜鉛版による金属特有の強調された色使いはより対象物を強調させます。
家や消火器などさまざまなモチーフがありましたがどれも非常に面白かったです。
そして「私のコレクション」と対をなすシリーズが「壁」と呼ばれるシリーズです。この「壁」というのは解説文いわくやがては崩れ去っていく一つの肖像です。穂高氏はそれを形として残そうと試みていました。
この壁というシリーズは中期にあった抽象的な概念に通じます。そして作品によって違いますが土壁のようなものが多く、独特の色をしたものが多くより個性的な肖像画をもとめていっていたように感じました。
そして驚いたのはこれだけ抽象っぽく見えた「壁」シリーズには実は綿密な計算がされていたということです。確かに作品によっては具象にしろ抽象にしろ計算はされているものが多くあるようにあると思います。
しかし穂高氏のはそれらとはやや違います。実はアイデアノートの展示があってその中のページに筆算を書いた様子や簡単な作品図が書いてありそこにメモがなされていました。そのメモをもとに該当作品を見るとより楽しむことができました。
ということで絵画、写真に続き版画という新しい分野を見てきました。ちなみに今回図録の販売はあったもののポストカードのようなものの発売を見かけることができず少しがっかり。(今回の写真はすべてパンフレットからの直撮りです)
なお今回書くにあたりいろいろ調べてみると、吉田穂高氏は英語版のwikipediaには項目があるにも関わらず日本版にはないという珍しい方であることが分かりました。
またそれ以外の略歴や作品の情報も少し埋もれているように感じました。自分の調べ方が悪いのかもしれませんが、もう少し評価されてほしいあるいは一人でも多くの方に知ってほしい。そんな作品展でした。
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