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人が行動を取らない原因とアプローチ

今回は人が行動を取らない原因と、それに対してどうアプローチをしたらいいのかという話をしたいと思う。組織やチームのリーダーの大きな役割の一つとして、「人を動かす」というのがあると思う。だけども、"思うようにメンバー動いてくれないな"と感じる経験はないだろうか? それを解決する一つのヒントになればと思う。

はじめに

ちょっとしたクイズです。

炎天下の砂漠に一人の男性がいる。彼以外には誰もおらず、彼は見るからに衰弱しており、脚も震えている。目の前には水の入ったガラス瓶があり、あなたはそれが「水」だと知っている。このまま水を飲まないと彼は死んでしまう。でも彼は水を飲まない。考えられる理由は何でしょうか?

何故水を飲まないのか

様々な理由が考えられると思う。例えば、

・瓶が熱くて触りたくても触れてない

・生水を飲んで中毒に陥ったことがある

・中は毒水だと思い込んでいる

・水を飲まないと危険な状況だと認識をしていない など

もちろん、これ以外の理由も考えられると思う。

人が行動を取らない仮説の大分類

人が行動を取らない原因を分類してみると大きく2つに分かれる。CAN NOT(できない/できないと思い込んでいる)とWILL NOT(意思がない/必要性を感じていない)の2つである(下図参照)。先程の例でいうと、

・瓶が熱くて触りたくても触れてない ⇒ CAN NOT(熱くて触れてないから飲むことができない)

・生水を飲んで中毒に陥ったことがある ⇒  WILL NOT(生水は飲みたくない)

・中は毒水だと思い込んでいる ⇒ CAN NOT(毒水だと思い込んで、飲めない)

・水を飲まないと危険な状況だと認識をしていない ⇒ WILL NOT(危険な状況ではないと思っているから飲まない)

仮説の大分類

CAN NOT仮説の類型化

CAN NOT(できない/できないと思い込んでいる)の中にも幾つか種類があり、代表的なものは以下の4つである。

①混在:取るべき行動と真に不可能な事が切り分けできていない。例えば、"ツイッターをやりましょう”というと、”やりたいけど、そんな時間ないですよ"と言ってくるケース。でも、1日1、2ツイートとリプするだけなら10-20分くらいで、数時間を取られるほどやりましょうという話ではない。どんだけ忙しくてもそれぐらいの時間が取れないはずはない。要するに、「できること」と「できない」ことの切り分けができていないということ。

②未知:未体験であるためにできないと思い込んでいる。例えば、"ツイッターをやろうよ"と言うと、"自分には呟くことがないので、無理です"と言ってくるケース。でも本当はやったことがないから、できるか/できないかは分からないはずだし、最初はできなくても、経験を積めばできるようになることも沢山あるはず。要するに、「やったことがないこと」=「できないこと」と捉えしまっている

③未熟:実行する上での工夫や、道具の使用方法を知らない。例えば、”ツイッターでフォロワー1,000人を目指そう”というと、”自分はそんなにフォロワーを増やせないです”と言ってくるケース。でもツイッターのフォロワーを増やす方法は幾らでもあるし、それに関するnote記事も一杯ある。要するに、工夫の仕方や道具の使い方を知らずに”無理”と思い込んでいる

④制限:組織のルールや前例に縛られて、できないと思い込んでいる。例えば、”うちの会社は考え方が古いから、ツイッターは多分できないですよ”というケース。組織のルールや前提はいつかは変わるし、誰かの提案で変わるものである。要するに、組織のルールや前例を理由に思考停止している。

WILL NOT仮説の類型化

一方で、WILL NOT(意思がない/必要性を感じていない)の種類もみていく。

⑤不覚:自身への期待役割が認識されていない。例えば、これだけSNS経由での採用が実例としてあれば、採用担当の役割としてSNSの活用を検討するべきだと思うが、"それって私の役割ですか?”と言ってくるケース。要するに、自分が何を期待されているのかが理解されていない。これに似たケースは結構あり、大企業でも、中小企業でも、期待役割が認識されていない事象は散見される。これは経営陣も含めて。

⑥畏縮:類似行動を取って失敗した経験によりやりたくない。例えば、”ツイッターを始めようよ”と言っても、”過去にツイッターをやったけど、嫌な想いをしたからやりたくない”と言ってくるケース。過去の失敗から学び、別の方法で実施すればいいだけの話。要するに、失敗体験に縛られ”できない”モードに入っている。

⑦懐疑:行動結果の有効性が理解されていない。例えば、"ツイッターなんてやって意味があるんですか”と言ってくるケース。ツイッターに限らず、何かを始めるときに、明らかに結果が出ることが証明されたり、筋道が示されないと動かないというのはよくある話。要するに、行動の有効性が担保されなければ行動をしないモードに入っている。

⑧安逸:現状継続の負の面に目を向けていない。例えば、”ツイッターなんかやらなくても、自分は今のままでいい”と言ってくるケース。食わず嫌いタイプに多いですよね。要するに、現状維持がリスクだということに気づいていない

代表的な仮説の類型化

気づき促進の為のアプローチ

さて、CAN NOTの分類、WILL NOTの分類が分かったとして、どうするかである。その分類によって、アプローチが変わってくる。あくまで一般的な方向性であるけども、きっと参考になるはず(下図参照)。

①混在への対応策 ⇒行動を構造的に語り、整理を促す。要するに、”ここはできないかもしれないが、ここはできるよね”と気づかせるアプローチ。

②未知への対応策 ⇒先にやって見せ一緒にやってみる。要するに、”こうやってやればできるよね”と気づかせるアプローチ。

③未熟への対応策 ⇒具体的な道具手順を示してあげる。要するに、"この道具やツールを使えばできるよね”と気づかせるアプローチ。

④制限への対応策 ルールブレイク真摯に議論をする。要するに、”時代の変化に応じて、ルールは更新していくべきだよね”や"誰かがルールを変えないと10年後も同じルールだよね”と気づかせるアプローチ。

⑤不覚への対応策 ⇒社長・幹部・部下の視点からフィードバックをする。要するに、複数の視点から、”あなたへの期待役割は、これとこれですよね”と気づかせるアプローチ。

⑥畏縮への対応策 ⇒詳細を聞き出し、何が違うか/何を変えるべきかを語る。要するに、”過去の失敗とは、こことここが違うよね”と気づかせるアプローチ。

⑦懐疑への対応策 ⇒懸念箇所を聞き出し、クリアリング(懸念解消)を行う。要するに、”行動することへの懸念は、こうやったら解消できるよね”と気づかせるアプローチ。

⑧安逸への対応策 ⇒行動を取らなかった場合のホラーストーリー定量的に語る。要するに、"このまま現状維持だとこんな悲惨な未来が待ってるよ。そうするとこれくらいのインパクトがあるよ”と気づかせるアプローチ。

気づき促進の為の類型化

総括

人が行動を取らない原因は様々である。その原因を無視して、無理やり行動をさせても得たい結果には繋がらないことが多いだろう。だから、行動を取ることの納得感を醸成した上で、行動してもらうことが重要である。

そのためにはその人が行動を取らない原因を掘り下げていき、その原因に即したアプローチを考える必要がある。その原因を考えていく補助線として、今回はWILL NOTとCAN NOT仮説の類型化を共有した。この補助線を活用し、皆さんの組織やチームの行動が少しでも変わることを願って。


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