12日目 自分の人生
期間が空いてしまった。
7月は色々なことがあった。もともと忙しい季節ではあったけど、この1年準備してきたことがひと段落した月になった。
今の仕事を始めて15年、アルバイトから数えると19年。ほぼ20年同じ環境で過ごしてきた。
いつしかその環境が当たり前になって、「目の前のお客さんのため」とか「同僚のため」とか「上司のため」とかいろんな「ため」のために生きてきた。
別にそれが嫌なわけでもないし、今まで過ごした時間に悔いはない。
でもこれから先、何の「ため」に生きる?
それは「誰が」決める?
ずっと悩んできた。
「動くなら40歳までやで」
ある先輩の、優しい関西弁がずっと頭の中にあった。
今思えばちょうど去年の今頃、今日までの第一歩を踏み出した。
発達心理学の重鎮、レヴィンソンの理論でも35歳〜45歳は葛藤の時期、人生半ばの過渡期だという。
ハローワークにいたキャリアコンサルタントのおっちゃんにも「アルバイトから数えたら20年くらい同じ仕事してるから、まさしく葛藤ど真ん中だよねぇ…」と言われて納得しつつ、安心した。
あ、みんな迷うんだ、と。
レヴィンソンの理論は読めば読むほど自分だし、同じタイミングで「だが、情熱はある」を観ちゃったもんだからもう全部重なって「このままでいいのか、俺」が加速していった1年だった。
本当に幸運だったのは、奥さんが応援してくれたこと。
正直、家族のことが一番心配だった。今の生活に変化が出てしまうかもしれないから、ズルズルと来ていたのはそれもあった。自分が我慢すればいいんじゃないか、今だって悪くないんだからいいんじゃないか、と。
でも、何か変えたかった。
自分の力で、何者かになりたくなった。
奥さんは「やれ!どんどんやれ!やっと分かったか!がはは!」と言っていた。
見ていてくれたことが嬉しかったし、そもそも「こいつズルズルやってんな」とバレていた。さすがすぎるぜ。
そうして踏み出した第一歩、そこから1年。
眩暈がするくらい暑い日だったけど、やり遂げることができた。
僕は自分の人生を、はじめて自分で動かした。
初めてだと思う。今まではきっとこんなに悩んでいない。悩む隙もなかった。若いうちなんてきっと生きるのに必死なんだ。
今、当時の自分に戻ったらそれはそれはもっと上手くやれると思う。
でも、あの時があったから今がある。よき先輩にも出会えた。
そう思えた今、当たり前に対しても違う視点が持てるようになった。
一つの環境だけに身を置くのは危険だね。
自分の居場所が多い方が、生きやすい。
この1年は居場所が増やせた貴重な期間だった。
頑張って良かったなぁと思って帰った京王線から見えた夕日がいつもより眩しかったからか、イヤホンから流れるスピッツのせいなのか、ずっと景色が滲んで流れていった。
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