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#宮廷
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−30
「ちょっと、私の話を聞いているの! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット!」
エミリアは私を怒鳴りつけながら、グイグイとアタシの右手首を引っ張った。
彼女はさっきまで、アタシと向かいの席に座っていたはずだが、いつの間にか隣に移動している。呼んでも反応がないので、頭に血が上ったのは間違いない。
どうやら昔のことを思い出しているうちに、彼女の話を上の空で聞いていたらし
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−29
「ちくしょう……これじゃ、エルヴィラの方がまだマシだわ。私ってバカよねえ。本当に人を見る目がない。宮廷で生き残れるのか不安になってきたわよ! マルガレータ・ハンナ・オクタヴィア・マルゴット、あなたのために使った私の時間とエネルギー、今すぐ返して!」
エミリアは一気にまくし立てると、テーブルに突っ伏して号泣した。
「ごめん、ごめんよエミリア・パトリシア・クラリッサ・アリアンナ
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−28
「お気に召したなら、新品買ってきてあげようか? 使いかけを他人にあげるわけにはいかないしね。タオルも、色違いのものでよければ、それと同じタイプのものがいくつかあるから、あげようか?」
とアタシがいうと、彼女は手に持っているチューブとタオルを見た。
「いいんですか? お姉様」
「いいのいいの」
「ありがとうございます、お姉様。それでは、両方ともいただきますね」
というと、義妹
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−26
以前から、エミリアのことをよく思っていなかった皇帝付き侍従の一人が、皇帝にエミリアがそばに控えていない時に「エミリア皇女に乱心の気あり」と、あることないことを吹き込んだのである。
だが彼女がかわいい皇帝夫妻は、その意見に耳を傾けないどころか、その侍従をきつく叱責した。その侍従は左遷され、その話はそれで終わり……のハズだった。
だがエミリアを快く思っていない連中は、それでめ
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−24
「お姉様に、どうしても見てもらいたいものがあります」
義妹はそう言いながら、黒色のクラッチバッグから、一冊のファイルを取り出し、それを私の前に差し出した。
彼女のいわれるまま、アタシはそのファイルに視線を向ける。
「ま、立ち話も何だからさ、座って話そ」と言いながら、アタシは彼女に、執務室のソファに座るよう促す。「コーヒーでいいよね?」
「はい、お姉様と同じもので」エミリアは
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-22
だが、この安定した治世も長くは続かなかった。アインハルト5世から数えて5人目のプレアガーツ家出身の皇帝クラウス=フォルクハルト3世は若年で即位した上病弱だったこともあり、政界ならびに宮廷での佞臣の跋扈を許した。
不幸なことに、この皇帝はあまり政治には興味を示さなかった上、このころから極右思想にかぶれた人たちが、急速に勢いを増すようになった。このころの市民は賢かったから、議
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−21
「う、う、うーん」
アタシは裸のままベッドの中で両腕を上げて、勢いよく身体を伸ばした。
デジタル時計の表示は、朝の6時20分を過ぎていることを示している。
自分の左側に視線を向けると、隣で寝ているはずのオトコがいない。
なぜ、オトコが隣にいたのかって? そんなの決まってるじゃない。楽しんでいたからよ。
さて、ここで自己紹介といきますか。
アタシの名前はマルガレータ・ハンナ
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-20
「悪いが、もう一度言ってくれないかな。どうも年のせいか、耳が遠いものでね」
部屋の主は視線を逸らせたまま黒革の椅子にふんぞり返り、せわしなくパイプをいじりながら返事をした。
「ですから代表、エルヴィラの襲撃は失敗しましたとご報告しているのですが」
男はいくぶん顔を青ざめながら、部屋の主に先ほどいった言葉を繰り返した。
男の説明を聞いた部屋の主は、視線を逸らしたまま「フーッ」