- 運営しているクリエイター
#日常
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-36
「あなた、この国の皇女ってわかってる? それもただの皇女ではなく、高い皇位継承権を持った皇女である立場なの。そんな人間が、公衆の面前で暴漢に襲われた。それが原因で、護衛の人間が責任を問われ、その座を追われるかもしれないということを、マリナはどう考えるのよ?」
言葉遣いこそ丁寧だが、その口調は、反論を許さないといわんばかりに冷徹だ。そう、彼女は職務のためならば、悪魔にもなれる
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-17
2人の口論は、終わる気配がない。私が周囲を見ると、いらだちの視線を向けているのはキャサリンだけではない。捜査関係者も、それは同様だった。何人かが、ラッシャーとフリーダを見ながら、なにごとかひそひそ話をしている。どんな内容なのかは、おおよそ見当がつく。総店長が口論しているから、仕事がはかどらないのだ。
「あのう、ちょっとよろしいでしょうか?」
私とキャサリンに、一人の警察官
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−15
私は素早く、キャサリンがいる方向に姿勢をかえた。
彼女はアクア色の無地のシャツの上に、濃紺のノーカラージャケットを羽織り、前のボタンは開けている。下半身は、ジャケットと同じ色のレギンス、黒のパンプスという格好で、私の目の前に立っている。
近衛兵といっても、軍服を着用するのは国家や軍隊の儀礼行事がある時だけで、普段はスーツで勤務する。キャサリンに率いられた近衛兵も、全員がス
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-4
「チッ」キャサリンは、忌々しげな表情で舌打ちした。
その表情には「話を逸らそうとしてんじゃないよ」という感情が浮かんでいた。
「夕べ、何か飲み食いしたか?」
キャサリンは夕べのことを私に尋ねた。
昨晩、私がオトコと一戦を交えていたことは、彼女もわかっていたはずだ。
夜分に上流階級の令嬢が、オトコを自室に引っ張り込むというのは、私たちの世界ではよくあることだ。もちろんキャサリ
Naked Desire〜姫君たちの野望
第9回 心の壁-3
「髪の毛が濡れたままじゃないか。またバスタブで寝ていただろう?」
「うん、キモチよくなってついウトウト……」
私は、バスタブの中でうつらうつらすることがよくある。
だから今日も彼女には、今回もバスタブでうつらうつらしていたしていたと思ってもらいたかった。
ところが、この時のキャサリンは違った。
「フーン。それにしては、さっきの反応は尋常じゃないが……」
今朝の私の態度から